兄妹故に2 ページ6
「何しにきたの」
Aの一言に兄は首を捻らす。
仮に兄であっても世界では禁断の果実と謳われている。
そんなやつが妹を助けにくるのだろうか。
「随分、お兄様のことを信頼していないみたいだね。愚妹」
「お兄様はそういう人間でしょう? あなたの背中をそばで見てきたから分かるんですよ」
「へぇ、可愛いこといってくれるねぇ。確かに僕は可愛い愚妹は助けない。だーってこんな任務で失敗する子なんて要らないし」
やはり。
兄はニッコリと容赦なくAを切り捨てた。
それが当たり前の判断だろう。
Aはその判断に悲しいも怒りも込みあげなかった。
それがAと兄の兄妹のあり方なのだから。
「そう。今後、お兄様と仕事をすることできないのは残念だわ」
「そうだね。僕も実に残念だよ。君を父親の機関に預けるなんてね」
「…どうゆうこと…なんでさっきの奴らがいるのよ!!」
「やっほぉ、Aちゃん。迎えに来たよ」
兄の後ろには先ほどAを追ってきていた機関員がいた。
小柄の男が嫌そうな顔でAを見やり、もう一人の男は車の窓から顔を覗かせていた。
「訳が分からないわ…なぜ、そいつらに私を売る必要があるのよ! しかも父親って…あの人はドイツで死んだはずじゃ…!!」
「あはは、いいねいいね。そういう顔、好きだよ。まあ、最初は僕も疑ったけど事実、あの人だった。お兄様も途中まで送ってあげるから行こうじゃないか。愚妹?」
「冗談じゃないわ!!こんなところで終わってたまるものですか!!」
すると刹那、Aの体が宙にふわりと浮く。
先ほど飛び降りた際にだきとめてもらった男がAを抱きかかえたのだ。
「貴方はさっきの…!!」
「話は後だ!!このまま逃げるぞ!」
そして男はAを抱きかかえながら走り出す。
その光景を見た兄は腹を抱えて笑い出す。
「いいねいいねぇ!!面白いよ!!王子様にお姫様か」
「ちょっとお兄様、笑ってないで追いかけましょうよ。なあ、波多野?」
「どうでもいい。さっさと終わらしたいんだけど」
「そうだな。だってあの子は佐久間のじゃなくて俺達のお姫様になるんだしね?」
「神永のそういうギザなところ、嫌いだわ」
そういって波多野と兄は車に乗り込んだ。
144人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えもん(プロフ) - 瑠璃(仮)さん» コメントありがとうございます!!実井は余裕だろうなあ、思いつつ書いてたのでキュンキュンしてもらえたなら嬉しい限りです!!更新頑張らせてもらいます!!!! (2016年8月11日 20時) (レス) id: fbc751c778 (このIDを非表示/違反報告)
えもん(プロフ) - ミコル・リアさん» コメントありがとうございます!!これからも頑張らせてもらいますね!! (2016年8月11日 20時) (レス) id: fbc751c778 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(仮)(プロフ) - 実井くんの余裕綽々とした態度がキュンキュンします(*´罒`*)これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2016年8月8日 16時) (レス) id: 586ec9aef4 (このIDを非表示/違反報告)
ミコル・リア(プロフ) - すごく面白くて大好きです!これからも頑張って下さい! (2016年8月5日 21時) (レス) id: 3d9f6a0a6f (このIDを非表示/違反報告)
えもん(プロフ) - 瑠衣さん» コメントありがとうございます!!まさかの禁断の果実にファンが!!やはりパラレルなので幻滅されるかと思ったんですがそう言っていただけると嬉しいです!!応援に応えれるよう頑張ります!! (2016年7月30日 20時) (レス) id: fbc751c778 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えもん | 作成日時:2016年7月27日 12時