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蝿の従者たち ページ18

「ではまた、会えるなら」

「ええ、楽しかったです。脇坂さん。さよなら」



2人のやり取りに影から見ていた実井はクスリと笑う。


(さすがはAさん。これでこそやりがいがある)


実井は背広を羽織い、ハンティング帽を目深く被り、店から離れた。



*@*


脇坂はイラつきと焦り、そして不安を押し殺していた。

だが、そんな脇坂の心境をよそに隣では漫才師の男がペラペラと話している。

煙草を吸っているのに減らない口だ。


「いやあ、そいでね先生……って先生? 酷い汗じゃないですか。どないしはりましたん?」

「え、あ、あぁ……恥ずかしい話だがこの後戦死者の死体を見に行くつもりなんだが、私はまだ戦死者の死体には慣れていなくて」

「はあ〜、変わったお医者様ですなあ。私のかかりつけのお医者様は血を見ただけでにんまりと……こういう風に」


漫才師の男は煙草の火を消し、人差し指で口の端を上げた。

脇坂は小さく笑ったが、内心どうでもよかった。

頭の中では漫才師の男よりAの、あの笑った顔が埋め尽くされていた。



「ほいで、その先生がね、診察室から入った虫をあぶりだそうと煙を焚きましてねえ。これがまた強烈な臭いでして。今でも鼻にこべりついて落とそうにも落ちないものでして、これが」

(強烈な煙…? こべりつく……?)


そして全てが脇坂の中で繋がり、目を見開いた。

彼女は通りすがりのお嬢様でも物好きな華族のご令嬢でもない。

少し前、ソ連のスパイの仲間に話を聞いたことがあった。

帝国陸軍内に秘密裏にスパイ組織ができた。

その名もD機関。

そこのスパイマスターは魔王、悪魔、吸血鬼、いや………蝿の王がお似合いだろう。

それは音を少しずつ立て、こちらが怯えている内に近づき、気づいたらいなくなっている。

情報という名の蜜を奪って。



(彼女もまた…)


次の瞬間だった。

脇坂の頭に酷い痛みの電流が流れた。

そして脇坂視界は暗転し、床に倒れ込む。

脇坂の意識は遠のいていった。

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えもん(プロフ) - 瑠璃(仮)さん» コメントありがとうございます!!実井は余裕だろうなあ、思いつつ書いてたのでキュンキュンしてもらえたなら嬉しい限りです!!更新頑張らせてもらいます!!!! (2016年8月11日 20時) (レス) id: fbc751c778 (このIDを非表示/違反報告)
えもん(プロフ) - ミコル・リアさん» コメントありがとうございます!!これからも頑張らせてもらいますね!! (2016年8月11日 20時) (レス) id: fbc751c778 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(仮)(プロフ) - 実井くんの余裕綽々とした態度がキュンキュンします(*´罒`*)これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2016年8月8日 16時) (レス) id: 586ec9aef4 (このIDを非表示/違反報告)
ミコル・リア(プロフ) - すごく面白くて大好きです!これからも頑張って下さい! (2016年8月5日 21時) (レス) id: 3d9f6a0a6f (このIDを非表示/違反報告)
えもん(プロフ) - 瑠衣さん» コメントありがとうございます!!まさかの禁断の果実にファンが!!やはりパラレルなので幻滅されるかと思ったんですがそう言っていただけると嬉しいです!!応援に応えれるよう頑張ります!! (2016年7月30日 20時) (レス) id: fbc751c778 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えもん | 作成日時:2016年7月27日 12時

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