9（side:sgi） ページ9
俺は、何をした？
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ふたりが付き合っていたことを知った、
あの時の腹いせに、
Aに彼女との仲を見せつけたかった、
のだと思う。
我ながら、浅はかで。
穴に入りたくなるほど、恥ずかしい。
そして、最低だ。
占いのあと、彼女は明らかに元気がなくて。
クレープでも食べよう、と声をかけると。
『…取られたくなかった、けど。
やっぱり、知らないふりして、
付き合えるほど。
私は図太くない。』
俺の気持ちが自分に向いていないことは、
とうに分かっていた、と。
でも、すぐ付き合うのだけは、なしで。
これくらい、聞いてくれるよね？
と、泣くのを耐えた顔で言うから。
だれか、俺を、殴って欲しかった。
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後夜祭で、
グラウンドの方面は明るく照らされている。
俺は、到底、楽しめる気分でもなく。
部室の前に、座り込んでいた。
誰も来るはずが、なかったのに。
いま、いちばん、会いたくて、会いたくない人が、
目の前にいる。
俺は、つとめて明るく、振る舞った。
でも、
暗闇でもわかる、
ほんのり、照れた顔。
浴衣の威力。
さっき、あいつと約束したばっかりだろ。
俺は動きたくないという足を叱咤して。
この場を立ち去るしか、なかった。
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作者名：345 | 作成日時：2022年9月21日 0時
