フォークボールは打ち返せない【qk】 (ページ6)

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高校最後の年の文化祭。

クラスの出し物は、占いの館だった。

タロットカード占いが得意な子がいたので、

タロットカードコーナー。

あと、

誕生日や血液型を入力すると相性がわかる類の占い。

プリントアウトされる紙のデザインにこだわった。

うれしいことに、大盛況だった。

わたしが受付担当の時間になり、

数人をさばいたあと。

目の前に須貝くんと彼女が現れた。

『A、おつかれ。』

軽く、会釈をする。

『来場アンケート、お願いします。』

テンプレ通りに、やればいいだけ。

『あれ、雨宮。

俺と誕生日1日違いだ。』

動作確認したときの、履歴が残っていたらしい。

視界に、

あまりわたしをよく思っていないであろう、

彼女さん。

【取らないで】

と訴えかける目。

(わたし、エスパーでもなんでもないのに、)

不自然にならないよう、感情を抑えて。

『そうなんだ、偶然だね。』

そう告げるのが精一杯だった。