フォークボールは打ち返せない【qk】 (ページ26)

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高校生のときに、戻ったみたいだ。

野球部の先輩は背が高くて。

すこし近寄りがたい雰囲気をしていた。

部室の鍵を閉めて、帰ろうとした時に、

後ろから声をかけられた。

ストレートに、

好きだ、と言われて。

その、真剣な眼差しが。

断るという選択肢を打ち消した。

まず、友達からお願いします、という

なんとも古くさいセリフを言ったことを

覚えている。

先輩のバイト先の近く、

学校の最寄りから2駅離れたファミレスで、

何時間も話した。

部活の帰り、一緒に帰って。

あの交差点で別れるのが、つらかった。

…………気づくと、わたしのほうが、

すきになっていたと、思う。

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つい、思い出に浸って、しまった。

先輩の声で、我に帰る。

『……急に、連絡したのに、

来てくれてありがとう。』

『いえ、』

『…………話したいことが、

あるんだ。』

……あのときの、目、だ。

心臓が、うるさい。

その目にひきこまれてしまいそうで、

手を、ぐっと握りしめた。