フォークボールは打ち返せない【qk】 (ページ19)

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かわいい。

かわいすぎる。

待ち合わせで駆け寄ってくるとか、

ベタな展開にもいちいち反応してしまう自分。

バーベキュー場まで、

何話してたんだっけ。

隣に並んで歩いていたら、

指がたまに触れたりした。

俺は途中から話に集中できていなかった、と思う。

手を、つなぎたい。

何度目かの、指が触れた瞬間。

Aが指を、掴んできた。

すこしひんやりした、

柔らかく細い指。

全身から汗が吹き出るような、感覚。

手汗に気づかれそうで。

頼む。なんだ、この拷問は。

もうバーベキュー場は目の前なのに。

このまま引き返して、

ふたりきりになって、

この腕にAを閉じ込めてしまいたくて。

『須貝！』

同僚の声に、急に現実に引き戻される。

Aと、指が離れる。

胸を中から引っかかれるような、

むずむずした感じ。

重症、だ。

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幹事や同僚に呼ばれて話した後。

決意新たに戻ってきた俺は、

他の男と話をしているAの姿に、

1秒でも早く。

伝えなければと、焦っていた。