フォークボールは打ち返せない【qk】 (ページ13)

今日:20 hit、昨日:2 hit、合計:11,667 hit

13（side:sgi）ページ13

---

『覚えて、くれてたの？

私だけだと思ってた。

お誕生日おめでとう、須貝くん。

1日遅れだね。』

俺は、わけわかんないくらい満たされて。

ずっと、こうしていたいと願った。

少し身じろぎしたAに、

いまここが外だと、思い出す。

名残惜しいが、Aと離れ、

『ん』

手を出すと、

Aは、うれしそうに、そっと指に触れた。

---

部屋に入り、Aがぽつりぽつりと口を開く。

あいつから聞いていた話と、

高校の時の話も少し。

俺以外の男にやったことはない、と必死な顔をするから。

信じることにする。

どこで、覚えたの。

変化球のキレよすぎるよ、お嬢さん。

そこまで、俺のことを考えてくれていたことに、

俺の顔の全筋力はゆるんで。

喜びを隠せない。

『あ、

そうだ、ケーキ。』

箱2つを見て、

Aは驚いていた。

『わたしに？』

『ホールケーキは買えなかったんだけど。

5さいまで祝えるロウソクならある』

綺麗な顔で、思いっきり笑ってくれる。

『来年も一緒に。』

2日連続で。

俺は、

Aを何回もこの目に映したい。

---