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Aは、
どちらかというと、近寄りがたいイメージだった。
《かわいい女子》はいっぱいいたけれど。
校内ミスコンで、
ダントツ1位だったのを覚えている。
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コンコン。
『はい、あ、ちょっと待って。
着替えてるから。』
野球部の部室の扉を開くと、
すこし顔を赤くした、Aがいた。
俺は、一方的にAを知っていたが、
Aは俺を知らなかったと思う。
『すみません、
部室を一部貸していただけると、キャプテンさんにお伺いして。
いま、よろしいですか。』
『あー。
その話、きいてる。
この一角に、楽器を置きたいってやつだよね？』
Aはホッとした顔で。
『はい。
ありがとうございます。
来週の土曜日に。
移動させてもらえればと。』
『了解。
てか、この辺片付けねーとな』
『お手伝い、しますか？』
『だいじょうぶ、さすがに』
色がおかしくなったペットボトルの飲み物やら。
泥だらけの古びたスパイクやら。
汚れた黒い服やら。
触らせるのがはばかられるものばかり。
『当日、俺ら部活あって。
13時くらいなら部室にいると思う。
俺のこと呼び出してもらえれば話早いから。』
『わかりました。
よろしくお願いします。』
深々おじきをして。
Aは向かいの部室に戻っていった。
『あ、俺、
名前名乗るの忘れた』
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作者名：345 | 作成日時：2022年9月21日 0時
