秘密【qk】 (ページ14)

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真面目な子だな、

と思っていた。

しがない講師の授業。

しかも朝一。

俺だったら、

簡単にサボっちまうかも。

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講義の日。
いつものように教室に入る。

あれ、いない。

Aがいない。

さすがにあいつも、
リタイアしたか。

まあ、いい。

俺は読書でもしよう。

本を開いて、

一文字目を認識しようとしたとき。

ばたばたばたばたっ

けたたましい音とともに。

『ち。
遅刻、
すみません。

あ、せんせ、

いたぁ。

よかった。』

あ、心配するところそこなんだ。

ふらふらと席に着いた、と思ったら。

『先生、

ちょっと、すみません、』

と言って、
廊下に出て走って行ってしまった。

うん。

落ち着こうね。
お嬢さん。

2、3分くらいたっただろうか。

Aが教室に戻ってきた。

『だいじょぶ？』

『汗が。

とまらなくて。

気合いでとめてきました。

すみません。

講義、おねがいします。』

なに、この子。

俺をどうしたいの。

鼻に汗かいてるよ。

よくわからんけど、

真面目なことは確かだ。

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俺は、この講義を休講したってよかった。

だけど、

A。

Aが真剣に講義を受けてくれるから、

俺は毎週の講義が楽しみになっていた。

このやっかいな気持ちをどうしようか。