秘密【qk】 (ページ11)

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(side:you)

初めて会話したあと。

何回か授業で顔は合わせたものの、

特に話すことはなかった。

授業が終わって席を立とうとしたとき、

『Aさん、

放課後、数学準備室来れないかな。

やばい問題、解きたくない？』

人との絶妙な距離感。

自分が安全な人間だと思わせる能力。

根っからだなと感心する。

なに、企んでるの。

『やばい問題ってなに。

わたし、きょう用あるから。

他の人と楽しんで』

『そっかぁ、残念。』

さして残念でもない顔をして、

さらっと去っていった。

『Aさん、

あれ、デートの誘いでしょ』

『はっ？』

『いや、オレは女子にあんなこと言う福良初めて見たけど』

……ごめん、誰。

『あ、友人Aです。

いきなり話しかけてごめんね。』

『あれのどこが、デート…』

『めずらしーもん見ちゃった。

ま、たまには誘いにのってやってよ。』

友は同類ってやつか。

やばい問題がなにか、なんてどうでもよくて。

それ以上にやばいと思う展開が、

頭を支配するはめになってしまった。