同居人たち。 (ページ12)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:219,604 hit

１２. ページ12

.

窪田「んで、その部長がお辞儀した拍子に、
部長のカツラが下に落ちてさー」

『げっ、ほんと？』

窪田「まじまじ。その場の空気一瞬で凍りついたし、笑い堪えるので大変よ」

『うわー…部長かわいそ』

仕事も定時で終わり、ノー残業デーだから
無事に窪田といつもの居酒屋へ。

いつも売り切れて食べられない”タンもと”が
今日はあったからとてもラッキーだ。

窪田とは同僚で、会社の男の中で一番気を許してる存在。
ミカコちゃんは私とこいつの関係を疑っていたが、
ばりばりのお友だちです。恋愛感情はありません。

話してる内容は会社の話__
といっても、窪田が元いた部署の部長のカツラの話だけど。

『てんちょ、ビールおかわりっ』

窪田「相変わらず飲むねぇ」

『飲まなきゃやってらんないよ。

明日は仕事休みだからいーんですぅ』

窪田「…そのおもりするの、俺なんですけど」

店長「はいよー、Aちゃん」

『んふふ、ありがとてんちょ。』

窪田「あんまり飲みすぎんなよ？」

『わかってる分かってる』

...

..

窪田「とか言ったくせに、結局こうなるもんなあ」

片手にビールの取手を掴んだ状態で、
机に突っ伏して寝てしまったA。

白く透き通った肌に、長い睫毛
ビールか化粧かほんのり紅色のチークに
ぷっくりした柔らかそうな唇

唇に目線が釘付けになった途端、
自分の心臓がどくどくと早くなった気がする

このキモチに気づいてしまうと
何もかも終わってしまうような気がするから

気づかない、ふり。

窪田「A、」

『んぅ、……zZZ』

窪田「駄目だこりゃ」

力が抜いてぶらんぶらんなAの腕を
自分の首に通して、所謂おんぶ状態にする

何こいつ、かっる。
酒よく飲むくせになんで太んないんだよ。

いつもお世話になってる店長に代金を払い、
俺たちはそこを後にした。

.

.

窪田「お前、家どこだっけ？
確か引っ越したんだよな？」

『わああ、助けて……
雪だるまがこっちにやってくる……』

窪田「ははっ、どんな夢見てんだよ」

駄目だこりゃ。

仕方ないから俺はある場所に向かった。

.