小悪魔の証明【qk】 (ページ24)

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金属（izw）ページ24

君は白衣がよく似合う【qk】
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降伏(izw)

つづき

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『来月、籍。入れるんだ。』

左手に輝く、金属。

はにかむ、表情。

うそだろ。

………いやだ。

どうして。

俺は考えもまとまっていないまま、

なにかを言おうとしたところで。

………………目が、覚める。

夢だ。

A先生が、夢に出てくるのは大歓迎だが。

他の男との結婚報告の夢なんて、

二度とごめんだ。

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『……A先生。

ちょっと、よろしいでしょうか。』

病棟でカルテとにらめっこしている、

A先生に声をかける。

左手の指には金属は存在していない。

『………ん、なに？』

白衣のポケットの中のものを

手の中で転がしながら、平静を装う。

『お忙しいところ、すみません。

……あの』

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話を遮られた。

A先生は、前を歩いている。

『飲みに、いこっか』

A先生のその言葉に、

俺は言おうとした言葉を即座に飲み込み、

行きます、と全力で答えていた。

あのときと、同じ店。

先生の指輪を見て、ダメージを受けたあの日。

先生が好きだ、という気持ちが確信に変わったあの日。

到着して早々に、俺は口を開く。

『……A先生。

俺、どうかしてると思うんですけど。

あなたと、結婚がしたい』

まだ飲み物の注文もしていない。

いや、そんなことより。

俺は先生の彼氏ですらない。

はやく、言わないと。

先生が、どこかに行ってしまう気さえして。

『…………どうして？』

こうやって、俺を落ち着かせてくれる、先生が好きだ。

……夢の話をした。

もう二度とみたくない夢。

もしまた同じ夢を見ても。

朝目が覚めてあなたが隣にいたら。

《非現実》だと、思えるから。

彼氏とか、恋愛の順番とか。

ぜんぶ、すっ飛ばしてしまいたいくらい。

好きだ、と伝えると。

A先生は顔色ひとつ変えない。

『………伊沢、

そのポケットに入ってるもので。

《現実》って思わせてくれる？』

『……先生なら、いつでも、大歓迎です。』

差し出した鍵に触れるしぐさが美しくて。

俺は、何度も。

恋に落ちてしまうのだった。