幻想(sgi) ページ11
居心地のいい、
関係性。
それを壊してまで、
先に進みたい、のか?
たまに、ふたりで、遊ぶ。
ただし、甘やかな雰囲気は皆無だ。
ともだち。
それでも、よかった。
---
『わたし、アメリカいくね』
『………は?』
『留学』
『はじめて、きいた』
『須貝にはじめて言った』
いつから、とか、なんで、とか。
言いたいことはたくさんあるのに。
『…………須貝?
なんか、ごめんね。びっくりした?』
彼氏、ではないから。
俺には相談されるはずもなく。
決定事項のみ、伝えられる。
居心地のいい、関係性?
これのどこが?
もう、俺の感情は。
投げやりになっていた。
『………………
きいてる?』
『え、あ。ごめん』
『……わざとじゃないよね?』
これ以上。
俺を落ち込ませる言葉を、聞きたくない。
『もう、なんにも。
こわいものなんて、なくなるんだね。
いま、無敵になったような気分。
………須貝、
ずっと、すきだったよ』
言えてよかった、
それじゃ。
と、立ち上がるAの腕をつかむ。
横並びで座っていたので、
Aの顔は、見ていなかった。
『……………
いま、
はずかしすぎて、しにそう。』
俺の方こそ。
かわいすぎて、しにそう。
『俺をこんなに惚れさせておいて、
遠くにいくなんて。
………覚悟、できてるよね?』
今までと、明らかに違う。
俺をみる、まなざし。
俺は、言いようのない幸福感につつまれて。
Aの腕を、そっと、引き寄せた。
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みゆ - うーん、全部の作品選べないくらい好きです!!! (6月4日 22時) (レス) @page33 id: 379497ea92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:345 | 作成日時:2022年10月14日 0時