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＜重岡side＞
神ちゃんはずるい。
俺の方が年上やし、身長だって大きい。
それでも敵わないと思わせる実力と才能。
最強のライバルに情けない姿見せて、迷惑をかけて。
本当は今すぐにでも消えてしまいたかったが、
それは許されなかった。
きっと、本音で、本心で向き合うまで離してくれない。
時折見せる昔の面影が、俺を支配して服従させる。
どこまでもずるい男だ。
最後の力を振り絞って風呂に入り、神ちゃんの服を借りる。
俺に似合わないオシャレな部屋着は、
どこまでも隙がないあいつと俺の差を明確にしてる気がして
腹が立った。
神山｢しげ、寒くない？寝れそう？｣
せめてもの抵抗で言葉を発さずに頷く。
神山｢よかった。しんどかったら起こしてええから、な？｣
ガキのように不貞腐れる俺に、
ほっとした顔で笑いかける神ちゃん。
自分の余裕のなさを指摘された気分だった。
翌朝、懐かしい音で目が覚めた。
台所から聞こえる、朝ごはんの音。
布団の中で微睡みながら聞いていると、
実家に住んでいた頃のことを思い出す。
みんな元気してるかな
…会いたいなぁ
静かに溢れ出る涙を必死に抑えてリビングへと向かった。
神山｢おはよ、寝れた？｣
｢うん、結構寝た｣
神山｢よかった。顔色も良くなったな？｣
嬉しそうに頷きながら、食卓に次々と皿を並べていく。
2人分の朝ごはんにしては随分と豪華だ。
｢神ちゃん家って毎朝こうなん？｣
神山｢いや、全然。手ぇ抜くときはとことん楽するよ。
今日はしげがおるから張り切って作りすぎた笑｣
神ちゃんだって疲れてるのに
こんな俺のために頑張らんといてよ。
神山｢料理って自分のためやったら面倒くさい時もあるけど
食べてくれる人がおると楽しいよな｣
口を開いたら神ちゃんを傷つけそうで黙り込んでしまった俺に
運ぶの手伝って、と茶碗を渡してくる。
その表情は本当に嬉しそうで、喜んでしまう自分が嫌だった。
向かい合って座り、朝食を食べる。
神山｢どう？食べれそう？｣
｢うん、うまいよ｣
神山｢よかった〜食べれる分だけでええからな？｣
俺のために頑張ってくれて
俺がおるから楽しくて
俺の一言で幸せそうに笑う。
大事にされることの喜びを知り、
返せないほどの愛に気づいてしまった。
だから嫌なんだよ。
神山智洋ってやつは。
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夜光(プロフ) - みささん» コメントありがとうございます！励みになります！ゆっくりですが完結できるよう頑張ります(ง •̀_•́)ง (2022年5月16日 12時) (
レス) id: 4599a482ed (このIDを非表示/違反報告)
みさ - 面白いです！更新待ってます！ (2022年5月14日 9時) (レス) id: 6097d6630f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜光 | 作成日時：2022年5月3日 1時
