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＜神山side＞
人差し指と中指に残る生々しい感覚。
やっと本当のしげに触れられた気がして、
不思議と嫌だとは思わなかった。
堰を切ったように感情を吐き出す背中。
潰れてしまう前に間に合ってよかった。
水を飲んでは吐くことを繰り返し、
胃に残ったアルコールはだいぶ抜けたらしい。
重岡｢…はぁ、ごめん｣
｢全然ええよ。しんどかったな｣
重岡｢……なんでそんな優しくするん｣
なんで？
そんなこと考えたこともなかった。
｢しげが俺に優しくしてくれる理由と同じちゃう？
自分の一部は大事にしたいやろ｣
しげの存在は言葉では表せない。
生きていく上で切っても切れない存在。
重岡｢…おれは。 俺も、神ちゃんは大事にしたい。
でも、自分を大事にしたいとは思えん。
こんな自分、ぐちゃぐちゃにしてしまいたい｣
自分を痛めつけるような言動の発端はこれか。
じゃあ俺のすることは決まっている。
｢俺のしげを傷つけるやつは許さんよ？
それが本人でも。
俺がしげの分までしげのこと大事にするから｣
そう言って抱きしめると、胸に顔を埋めるしげ。
時々聞こえる鼻をすする音が、たまらなく愛おしかった。
｢なぁ、俺と2つだけ約束してくれへん？｣
小さな子供に言い聞かせるように話しかける。
｢1つ目は、ちゃんとご飯を食べること｣
泣き顔を見られないよう俺の胸に頭を押し付けたまま
こくりと頷いてくれた。
｢2つ目は、俺の側におること｣
思ってもない言葉に驚いたらしく、
俺の顔を見上げるしげと目が合う。
｢明日休みやろ？今日はうち泊まって、
俺がいいって言うまで俺の側を離れんこと。
約束できる？｣
重岡｢そんなん…俺は大丈夫やし、今日は帰るから、｣
勢いよく俺の胸から離れ、元気やと言い張る青白い顔には
申し訳ない、迷惑かけたくないと書いてあった。
｢俺との約束守られへんの？｣
しげが俺に逆らえないのを分かってて、
低い声で脅すように言う。
ごめんな、そんな簡単に離してやれへんのよ。
重岡｢ちがっ…俺はただ…｣
｢今のしげに決定権はないで。ちゃんと守れよ｣
そう言って逃げ道を奪うと、再び俺の胸に抱き寄せた。
俺に怯えながらも首を縦に振るしげに満たされる
歪んだ独占欲には
気づかない振りをした。
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夜光(プロフ) - みささん» コメントありがとうございます！励みになります！ゆっくりですが完結できるよう頑張ります(ง •̀_•́)ง (2022年5月16日 12時) (
レス) id: 4599a482ed (このIDを非表示/違反報告)
みさ - 面白いです！更新待ってます！ (2022年5月14日 9時) (レス) id: 6097d6630f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜光 | 作成日時：2022年5月3日 1時
