ひとりぼっち ページ1
＜重岡side＞
時々、何もかもが嫌になる。
別に大きな理由がある訳じゃない。
忙しくて疲れたとか、上手くいかないことがあったとか
そんな小さなことの積み重ね。
きっと生きていれば誰もが抱えることで
喉元を過ぎればなんてことないってことも
それまでのやり過ごす術も、わかっていた。
わかってるけど。
コンビニで度数の強い酒を買う最近のルーティン。
こんなことしても楽になれる訳ない。
そう思いながらも無理やり流し込むように飲んでは
泥のように眠る自暴自棄な生活がやめられなかった。
食欲も活力もなく、
仕事以外は寝るだけの廃人のような日々。
ボロボロになっていく体は自分への戒めのようで、
見た目に気を使う仕事をしている俺の
自分を傷つけたいという欲を上手く満たしてくれていた。
こんな俺の歪んだ自慰行為に周囲を巻き込みたくない。
しょうもない俺の気持ちが仕事に支障をきたさないように
誰にもバレないように過ごしていた。
神山｢しげなんか痩せた？｣
こいつにはバレたけど。
｢そう？最近よう動いてるからかな｣
神山｢そっか、あんま無理せんときや｣
｢おう｣
笑顔でやり過ごすが、昨日の酒はまだ体に残っていて
いくら水を飲んでも吐き気と頭痛は拭えなかった。
グループでの仕事終わり。
神山｢曲のことで相談したいことあんねんけど
今日時間ある？｣
珍しく神ちゃんから誘われた。
俺の変化に敏感な神ちゃんは、現状を知ったら怒るだろう。
正直気乗りはしなかったが、
仕事に支障をきたさないという自分との唯一の約束を
破る訳にはいかなかった。
｢お邪魔しまーす｣
神山｢はいよ〜｣
久しぶりに来た神ちゃん家は掃除が行き届いていて、
空き缶とカップ麺が転がる俺の家とは大違いだ。
神山｢昨日の残りもんやけど｣
そう言って運ばれてきたのは白ご飯と具沢山の味噌汁。
人が作ってくれた飯食うのいつぶりやっけ。
暖かくて優しくて、久しぶりに触れる温もりが怖かった。
俺ってこんなに恵まれてていいんかな
優しくされるような存在じゃないのに
すっかり癖になってしまった卑屈な思考回路。
胸の内が悟られてはいけないと
買ったばかりの酒を飲み干すのに必死だった。
｢で、曲の相談って？｣
神山｢あぁ、これなぁ…｣
俺からの注意をそらすために本題に入ったが、
体はとっくに限界を迎えていた。
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夜光(プロフ) - みささん» コメントありがとうございます！励みになります！ゆっくりですが完結できるよう頑張ります(ง •̀_•́)ง (2022年5月16日 12時) (
レス) id: 4599a482ed (このIDを非表示/違反報告)
みさ - 面白いです！更新待ってます！ (2022年5月14日 9時) (レス) id: 6097d6630f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜光 | 作成日時：2022年5月3日 1時
