誠也side ※ ページ14
誠也side
A「せーちゃんさ、お仕事楽しい？」
「…うん。」
A「良かった。ほんならさ、何が苦しい？」
「……ファンの子が…。」
A「怖い？」
「ｺｸｯ あの件で、俺、めっちゃ叩かれてん。」
A「うん。見たよ。」
「京セラ立つのが…ファンの子に会うのが怖い。」
A「うん。そうよな。」
「ステージには立ちたいねん。でも…。」
A「心が追い付いてないんよな？」
「そう。」
Aは優しく相槌を打ちながら聞いてくれたから思ったより言葉がスラスラ出てきた。
A「さっきな？東雲家に寄ってきたんよ。」
「うん。」
A「川崎さんにもらってん、これ。」
「！！」
Aがバッグから取り出したのは、
A「せーちゃんがあの時川崎さんに預けてた手紙。」
「…懐かし。」
A「末澤家に来る前に読んだよ。何て書いたか覚えとる？」
「……うん。」
A「…これは今のせーちゃんにも言えることなんちゃうかな？」
「せやけど…ファンの子からグループ辞めろって言われててん。」
A「…ネットやからって言うて良いことと悪いことはもちろんあるよ。ファンの子も混乱したやろうし。 でも、それだけAぇ！groupのことを大事に思ってくれとるってことやん。最高やろ？」
「俺のせいで、ライブ来るの辞める子もおるんやで？」
A「確かに、そういう子もおるんかもしれんよ。でも、絶対に来るの辞めた子よりも来てくれた子の方が多いやろ？」
「…それはそうやな。」
A「仕事とか学校頑張って、お洒落して、メイクも頑張って、高いお金払ってせーちゃんたちに会いに来てくれる子が沢山おるんやで？」
A「そんな大勢の来てくれるファンの子らに、一部の顔も見えへんファンの子から言われたこと気にしすぎて、中途半端なパフォーマンスみせてええの？」
A「それがせーちゃんの中のアイドルなん？」
Aの言葉はスーっと胸に溶けていって、不思議なくらい納得できた。
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作者名：鶴 | 作成日時：2023年12月28日 14時
