見つけてほしかった５【Seiya. S】 (ページ49)

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You side ページ49

Aside

見覚えしかない背中に、思わず呼び掛けると弾かれたようにこっちを見た。

目が合った瞬間、今までのせーちゃんとの思い出が走馬灯みたいに蘇ってきて、せーちゃんが言葉を発するまでの数秒がスローモーションみたいにとても長く感じた。

誠也「…A？」

もう呼んでくれることはないやろうと、心のどこかで諦めとったのに。

最後に生で聞いたときよりも少し声変わりしたんかな？いつもテレビ越しで聞いとった声で名前を呼んでくれた。

「せーちゃん！」

嬉しさが込み上げてきて、葬儀場ってことも忘れ、思わず走って抱きつきに行った。

逞しく受け止めてくれたせーちゃんは、華奢であるのは変わりないけど大人の男って感じのガタイ。

誠也「Aっ！…A！」

って抱き締め返してくれる姿は事件の後、末澤家の玄関で抱き締められたときを思い出させた。

あのときみたいに痛いほど抱き締められて、せーちゃんは手で頭を抱え込みながら抱き締めるから後頭部も少し痛い。笑

でも、そんな痛さより再開の嬉しさの方が大きくて、顔が見えへんせーちゃんの、鼻を啜る音と「…よかった。」って声が聞こえた瞬間。

「…っせーちゃんのバカ！泣」

押さえとった涙が溢れだした。