誠也side ページ13
誠也side
俺が…忘れとる？
何を？
Aって子のこと？
「俺…知らん。…分からへんもん。…どういうこと？」
頭の中でいろんな考えがグルグルと渦巻く中、リチャが追い討ちをかけるように口を開いた。
リチャ「末澤？これ、見て。」
机に置かれたのは俺とあの女の子の写真が入ったアルバム。
開いてページをめくっても、昔の俺と小さな女の子が仲良さそうに写っとる写真だけが並ぶ。
丈「分かる？」
「いや…分からへん。」
リチャ「…じゃあ、これは？」
リチャが持ってきたのはギター？
「？…見たことないで？」
丈「ッ!」
リチャ「丈、次でアカンかったらどうする？」
丈「！いや、大丈夫。Aと末澤やねんから。」
リチャが出したのはスマホ。
何をするんかと思って操作するのを見とったら「はいっ」って渡された。
画面を見ると音楽の再生画面？
リチャ「聞いてみ。」
の一言だけ言われたから、言われた通りに再生ボタンを押してみた。
〜♪
ドラムの音が耳に流れてくる。
それと一緒に、一気に頭の中を駆け巡った思い出。
A…！
Aやん！
そうやった…。
俺、ホンマに忘れとったんや。
A…。
いろんな感情が溢れてきて、涙が止まらなくなった俺にティッシュを渡してくれた丈とリチャ。
顔を上げて２人を見ると２人とも大号泣。
そうよな…記憶があった２人なんか、辛かったよな。
「丈、リチャ、俺、思い出した。」
リチャ「そうやろな。」
丈「良かったな。とりあえず、」
丈リチャ『おかえり！』
「…ただいま！」
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作者名：鶴 | 作成日時：2023年9月10日 21時
