見つけてほしかった３【Seiya. S】 (ページ10)

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誠也side ページ10

誠也side

ドラムの音が響く。

同じ小節を２回繰り返した辺りでキーボードとギター、ベースも聞こえてきた。

ギターソロの静かさから急な盛り上がりの緩急。

イントロまででこの完成度なん？

そう思っていたらリズミカルなハイハットと共にAの歌声が聞こえてきた。

Aが伝えたいんやろうなって歌詞と、俺が歌ったらオトンたちに刺さりそうな感謝の言葉が、良いバランスで配置されとる。

正直ここまで凄いとは思ってなかったなあ。笑

一瞬のギターソロの後。

ここ一番の激しさのサビに入った。

A「♪～ずっと僕でいたい。～僕を突き動かす原動力は君の笑顔。」

Aらしい歌詞やなと思った。

自分の笑顔がどれだけ周りを幸せにするか分かっとるからこその、この歌詞。

サビが終わってすぐに、これは…ギターソロか？

まあまあの速さやねんけど…？

これAが弾いとるんよな？

聞き入ってしまい、思わず息を飲む。

ギターの音が３段階上がって盛り上がりのサビやと思ったらまさかの落ちサビ。

キーボードオンリーの綺麗なメロディーと、Aの歌声が言葉で言い表されへんくらいマッチしとる。

ベースのソロも聞こえてきた。

A「♪～ずっとずっと僕でいたい。君は君を思うように変えていける。」

俺を指差しながら落ちサビを小さな体で、全身全霊で歌うA。

この歌詞を聞いて俺は思い出したことがある。