見つけてほしかった３【Seiya. S】 (ページ44)

今日:41 hit、昨日:41 hit、合計:31,871 hit

リチャside ページ44

リチャside

Aちゃんなんて、末澤の口から聞いたことないし、正直、聞いて分かったけど聞きたくもなかった。

末澤がAを呼ぶときは、絶対に呼び捨てやったから。前に理由を聞いたら「Aにお願いされたし、呼び捨ての方が距離近くない？」って嬉しそうに言うてたやん。

レッスン場とかでも、暇さえあれば「せや！Aがな～！」っていくらウザがられても俺とか丈に話しかけて来てたやん。

Aと喧嘩したとき、誰が見ても分かるくらい明らかに落ち込んでたから俺と丈で相談乗ったよな。「Aと喧嘩してもうた…。嫌われた…。」としか言わんから付き合いたてのカップルか！って丈がツッコんでたの覚えてへん？

末澤の背中に向かって心の中で問いかけるけど末澤は前を向いたまま。

あんなに好きやったAのこと、末澤がホンマに忘れてしまったのを突き付けられた気がした。

やるせない気持ちが溢れてきて俯いてしまった俺の背中を末澤のオカンがポンポンしてくれて何とか気持ちを切り替える。

幸い、末澤は23階に着くまで振り返らんかったから俺も普段通りに戻れた(はず)。

末澤が無言やなと思ってエレベーターから出るときにボタンを押してくれていた末澤の顔をチラッと見ながら出たら、驚いた。

少し俯いてて、眉間にシワが寄ってたから。