見つけてほしかった３【Seiya. S】 (ページ43)

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リチャside ページ43

リチャside

母親「もう！自分の名前も言わんと人に聞くんは失礼って前にも言ったやろ？」

女の子「せやった！私はAって言うねん！」

正直、俺と末澤のオカンは肝が冷えた。

Aと同じ名前。同じ年齢。末澤が忘れとるとは言っても偶然すぎるやろ。

同じことを思ったんか、隣におった末澤のオカンと目が合った。

末澤は聞こえるか聞こえんかくらいにボソッと「A…Aか……」と言って女の子を見た。

末澤「Aちゃんって言うん？可愛い名前やなぁ。」

女の子「ありがとう！名前、好きやねん！」

末澤「ママがつけてくれたん？」

女の子「うん！！」

末澤「ほんなら、名前大事にせなアカンな！」

２人がそんな話をしていたら、20階に着いた。

女の子とママさんは21階で降りるらしいから次の階でお別れに。

女の子「バイバイ！せいやくん！」

誠也「バイバイ！Aちゃん！」

手を振ってお別れして扉が閉まる。

扉が閉まる直前に見えたAちゃんはママと手を繋いでて、俺にオカン大好きなAを思い出させた。

末澤は何も気にしてへんみたいでそのまま閉まった扉の方を見続けてる。

そのまま振り返らんと、前見続けてや？

今の顔、絶対に末澤には見せられへんよ。

……俺、泣きそうな顔やから。