見つけてほしかった２【Seiya. S】 (ページ22)

今日:9 hit、昨日:50 hit、合計:42,185 hit

誠也side ページ22

誠也side

俺が１を選べば、Aは無傷で返して貰える。

俺が２を選べば、Aがどうなるか分からへんってことやろ？

そんなの考える必要もない。

俺が忘れたらAは傷付かへんってことよな？

忘れられるのは悲しいと思うけど、痛い目に遭うリスクを考えたらAにとってこっちの方がええはず。

「僕が忘れます。その代わり、絶対にAを傷付けんとってください。」

男「貴方ならそっちを選ぶと思ってましたよ。」

男はそう言って、ポケットから小さなケースを取り出した。

男「ここに入っているカプセルを飲んでください。そうしたら、忘れることが出来ます。」

「あの！」

男「はい？」

「今じゃないとダメですか？」

男「と言うのは？」

「知ってると思いますけど、明日Aの誕生日なんてすよ。それだけはお祝いしてあげたくて。」

「明日でよくしてくれるなら、絶対にこのことは誰にも言わないのでお願いします。」

無言が続く。男も考えとるみたいやな。

男「…言いましたよ？二言はないですよね？」

「後日確認しに来ても大丈夫です。」

男「……分かりました。明日必ずですよ？」

「ありがとうございます！」

男は去って行った。

ああは言ったものの正直、めっちゃ怖い。

謎の薬も、男の雰囲気も、明日のことも。

でもこれがこの前守られへんかったAを守る最後のチャンスやと思う。

俺は忘れるけど、俺を覚えといてくれるAの中では最後くらいカッコいいせーちゃんでいたい。