誠也side ページ35
誠也side
年末年始、お祝いムードなんか全くなかった。
ファンの方に向けてのブログを書いて、沢山頂いた連絡を返して。
そんなことしとる俺自身、あの日から前に進めてなかった。
YouTubeに雑誌、いろんなメディアが撮り直しになって忙しくて。
仕事のことだけを考えて過ごした１月の中旬まで。
流石に前を向かなアカンなってなったのは、舞台の再演の話を聞いたときやった。
横山くんとAぇ! group、いろんなスタッフさん全員で作り上げた舞台。
発表した京セラドーム公演。
そして迎えたドーム本番。
５万人。それに配信を見てくださってる大勢のファンに囲まれて発表できたデビュー。
どれも幸せな瞬間で、やっぱり忘れたくないもの。
Aぇになって１年後からの約３年？
俺の中に記憶はないけど、家にあるノートを見たら３年間の俺が全部詰まってて。
中には幸せなことばっかりじゃない。
読むだけで苦しくなるような日記もあるけど。
このノートは間違いなく６人で繋いできたもの。
始めてくれたのは大晴ってことも変わらへん。
人間は忘れてまう生き物やから。
いつ記憶が無くなるか、ホンマに分からへんって身を持って知ったから。
「そのノートは『誰が為』？」
そう聞かれたときに、前の俺やったら
「俺の為です。」
そう答えてたと思うけど。
今となっては、６人のかけがえのない日常が詰まったノートやから。
このノートは……
「Aぇ! groupの為のノートです。」
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作者名：鶴 | 作成日時：2024年3月29日 18時
