誰が為 (ページ42)

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リチャside ページ42

リチャside

丈の家までの行きしな、ホンマにどうでもええことを話しながら歩いた。

丈の家に着いて、丈にしては珍しくお茶まで出された。

「え、ホンマに何かあったん？」

丈「お前や。」

「え？」

丈「もうとっくに気付いとんのちゃう？」

「…。」

丈「もうリチャは限界やねん。」

「……。」

丈「末澤のこと、抱え込みすぎや。さっき正門から電話あってん。「リチャくんのこと助けてください。」って。」

丈に言われて、嫌でも現実に戻った気がした。

「俺が折れたら他のメンバーが」ってマインドやったから、自分の限界は見て見ぬふりをして。

食事を抜きがちになったのも、集中力が無くなったのも分かってた。

会うたびに「痩せた？」って聞いてくる末澤を躱すのも慣れてきて。

「痩せた？」そりゃそうや。末澤の中の俺は何ヵ月か前の元気なときで止まってんねんから。

「…電話、正門が？」

丈「「俺が未熟なせいで、リチャくんがずっと辛そうなんです」って言うてたで。」

「正門のせいじゃない…。」

丈「それを本人に言うたれや。ただ、できる限り共有して分け合っていかなアカンで。」

丈「年下組もいろいろ思うことはあると思う。でも、誰のせいでもない…強いて言うなら犯人だけのせいなんやから、リチャだけが抱え込む必要はないで。」

「今日だけ…。」

丈「ん？」

「今だけ。ｯ」

丈の顔を見て、話を聞いて。

今まで不思議なほど出てこんかった涙が、溢れてきた。