誰が為 (ページ40)

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正門side ページ40

正門side

正直、今朝リチャくんと会ってから何となくソワソワしててん。

大先輩の大倉くんと横山くんと話すときでも、なんか上の空やったリチャくん。

普段のリチャくんやったらそんなこと考えられへん。

それに気付いた大倉くんが対応してくれたから良かったものの……リチャくん、限界なんかな。

事故の直後、晶哉がああなってもうて、それに引きずられるみたいにこじけんと大晴もダウンしてて。

３人の前では「年上やから」って気ぃ張って宥める側やったけど、そんな俺もリチャくんの前では子どもみたいにワンワン泣いた。

その時は、リチャくんのことまで考えられる程の余裕がなくて。

今思えば、事故から今までリチャくんだけは涙を見てへん。

俺が未熟なせいで、リチャくんはずっと辛い役割を引き受けてくれてんねん。

俺もしっかりしなアカンのに。

この後悔の念も、リチャくんの異変も、こじけん達には伝わってへんはず。

リチャくんは心配されるの嫌がるから、話してくれるとは思ってへん。

こうなったらリチャくんが頼れる相手に助けてもらうしかないよな。

そう決意して、病室を抜け出す。

「…もしもし？……丈くん？」

丈「ん？どしたん？」

「…リチャくんのこと、助けてください。」