リチャside ページ34
リチャside
病室の前で、改めて話す。
「今から会う末澤は、2月18日で記憶が止まっとる。担当医の先生にはさっき俺らが話してた間に末澤に前向性健忘のこと伝えてもらったから混乱しとると思うから、もししんどいなって思ったらすぐ言うか部屋出ても大丈夫やからな？」
４人が頷くのを確認して、ドアを開けた。
そこには森先生と、涙目の末澤が。
先生「…出た方が良いですか？」
「…お願いして良いですか？」
先生「勿論です。何かあったら呼んでください！」
先生が出ていかはってAぇ! group６人だけの病室。
まず口を開いたのは末澤やった。
誠也「…なあ。……みんな聞いたんやろ？」
「うん。聞いた。」
誠也「ってことはホンマなんか…。今、４月の19日なんやって。昨日…俺、リチャと正門と話したんやろ？」
正門「ｯ!」
「…うん。」
誠也「ｯ……覚えてへんなぁ。」
口調こそ柔らかいけど、その手は握ったシーツがぐちゃぐちゃになるくらい力が入って白くなっとる。
そりゃ悔しいし怖いよな。
目が覚めたら病院に居って、突然「あなたは記憶が１日しか持ちません」って言われるんやろ？
返す言葉がなくて、沈黙が続く。
その沈黙を破ったのは、また最年長やった。
誠也「…俺、いまいち状況が掴めとる訳じゃないねん。ただ、これからのAぇに迷惑かけるってことだけは分かる。」
晶哉「そんなことなi」
誠也「ある！」
晶哉「！……。」
誠也「みんなは先に進んで、どんどん新しい景色を見て、思い出たくさん増やせるんやで？」
誠也「でも、俺は2020年の2月18日で止まったまま。」
誠也「そんな奴がグループに居っても、Aぇの為になるわけないやん。」
自嘲気味に言った末澤。
それを聞いた年下３人が悲しそうな顔をしたのを見た瞬間、勝手に手が動いた。
バチｯ
「それ以上言うな。」
正門「ちょっ、リチャくん！？」
末澤が頬を押さえながら睨み付けてきた。
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作者名：鶴 | 作成日時：2024年3月6日 0時
