リチャside ページ31
リチャside
先生「……お察ししたかも知れないんですけど。」
「末澤、昨日の記憶がないんですか？」
先生「断定はまだできませんが、「前向性健忘」であると思われます。」
正門「前向性健忘？」
先生「簡単に言うと、事故以降の新しい記憶を残すことができない状態です。」
先生「脳は、寝ている間に記憶の整理をするんです。そのときに誤って新しい記憶を捨ててしまうのが前向性健忘です。」
先生「起きているうちは記憶できますが、寝たらその記憶がリセットされます。」
俺も正門も、絶望で言葉が出てこーへん。
なんとかひねり出した質問
「…それは、治るんですか？」
先生「心因性なら、原因を突き止めれば改善することはありますが、末澤さんの場合は外傷性に分類されるので…困難かと思います。」
希望も打ち砕かれて、正門がその場に崩れ落ちたのが見えた。
「ｯ!正門っ！」
正門「あ…ごめんなさい。ｯすみません。」
泣きながら、なんとか立とうとするけど足に力が入らんみたいで座り込んだままの正門。
先生にアイコンタクトして一旦部屋の外に出てもらった。
「正門？…１回座ろか。」
手を貸して、置いてあった椅子に座らせる。
正門「…せいやくん。」
「……うん。末澤な。」
正門「…これからどうしたらええの？」
「これからな……正門は、これからも末澤と仕事していきたい？」
正門「もちろんです！」
「俺もそう。３人もそうやと思う。」
「俺らの希望はこれからも６人で突き進むことやんな？……それを末澤に伝えて、末澤に決めてもらう。」
正門「でも！誠也くんが続けるって言うと思いますか？」
「思わん。せやから、５人で説得するで。」
末澤……何があっても辞めさせへんからな。
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作者名：鶴 | 作成日時：2024年3月6日 0時
