誰が為 (ページ21)

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リチャside ページ21

リチャside

部屋を出てすぐのところに見つけたトイレの案内。

入ってみたら誰も居らん中、１つだけドアの閉まった個室。

「正門～？鍵、開けれる？」

すぐに鍵を開けてくれて、顔を覗かせる。

正門「ｯリチャくん、ごめんなさいっ。」

なぜか俺の顔を見るなり謝りだした正門。

ここ、人通りは少ないけど普通にトイレやし、誰か入ってきたらマズいな…って思ったけど、かといってお見舞いに来た人用の待合室みたいなところはもっと人が居るはず。

正門には申し訳ないけど、誰も居らん空間ってあそこしか思い付かんくて。

「…ごめんな？とりあえず、末澤のところ戻らへん？そこでゆっくり話聞くな？」

不器用な俺にできるのは、正門の泣き顔をジャケットで隠しながら部屋まで戻ってあげることくらい。

また末澤のところに戻って、正門から末澤が見えへんように椅子を準備する。

「……なんで謝るん？」

正門「ｯ誠也くんのこと受け止められなくて……リチャくんのこと置いて逃げて…ごめんなさい。」

「…俺のこと置いて逃げたんなら、正門は今、ここには居らんで？ちょっとでも俺のこと考えてくれたから病院の中に居ったんよ。」

正門「……ｯ。」

「俺の方こそ、昨日から無理させてごめんな？末澤よりは頼りないかもしれへんけど頼ってや。」

泣き止むまで背中をさすって、やっと落ち着いた。

帰りは自分で帰れるとは言うたけどいろいろ心配やからタクシー呼んで、タクシー代を渡して帰らせる。

……マネさんに連絡して末澤の仕事のリスケしてもらわなアカンな。