それでええから (ページ35)

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誠也side ページ35

誠也side

お互い、なぜか恥ずかしくて沈黙が続く。

A「…せーちゃん？」

「ん？」

A「こっち向いて？」

そう言われて、Aの方を向いたとき。

チュッ

次は俺の頬に、短く何かが触れた。

A「…これでチャラってことでええ？///」

「ん。///」

正直に言うたら、キスなんか今までにもしたことあるし、それ以上のことも。

そのときももちろんドキドキはしとったけど、軽くキスだけでこんなにドキドキしたことはなくて。

Aがその相手ってだけで。こんなに余裕なくなるんや、俺。

俺の返事がそっけなかったからか、不安そうに顔を見つめてくるA。

そんなAでも、どんな感情より「可愛い」とか「好きやな」が勝ってまうから。

傷付けたくなくて。

「ん。今日はAも疲れとるし、寝よか。」

A「えっ、…うん。」

「俺、ちょっと仕事の人のLINE返してから行くから、先に寝とき？」

そう言ってAを俺の部屋のベッドに行かせた。

…今日だけは、別のとこで寝ようかな。

１回、俺もいろいろ整理したいし。

歯磨きとか無駄にダラダラして終わらせて、様子見に部屋に行ったらベッドの左端でスースー寝るA。

Aの中では、右側に俺が来るのが普通なんやって再確認できて。

無防備な寝顔を眺めて、頬をそっと撫でて部屋を出た。

今日だけ。

明日からはちゃんと今まで通りにするから。

ごめんな、後で行くって嘘ついて。

結局、お客さん用の部屋に布団を敷いて寝た。