短！まちがいさがし【不死川実弥】

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こうなれば、自分が今どういう状況なのかわからせるしかない。

玄関へと向かうその後ろ姿を追いかけて、ぎゅ、とそのワイシャツを掴んだ。






『…おい、…A、離せ。心配すんなって』


「わかりました。…じゃあ行ってきますのキスして下さい。出来ますよね？」






力なく振り向かれたその身体にふわりと近付いてマスクを顎までずらす、この状態でキスするという事は私に風邪を移すも同然。

意味が分かったらしいその人は眉を顰めるとはあ、と一つ溜め息を吐いた。




　

「今、実弥さんがしている事は玄弥くんにも同じ事ですよ？…ほら、体温測って。」


『……いや、でも』


「私からしてもいいですよ？キス。…問題ないんですよね？」





ずい、とその唇が触れそうな距離まで近付けばびくりと跳ねた肩。

ようやく折れたのかマスクをつけ直すと鞄を置いて体温計を受け取った。よし、これで最悪の事態は免れただろう。






………






…






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「うわ！！…39度…？実弥さんよく動けましたね？！」


『……でけぇ声出すなァ…、気が抜けたら頭痛くなってきたわ。』


「兎に角寝てください、私ポカリ買ってきます…！」


『ああ、…玄弥は頼んだぞ。言った事には責任持てよォ、…A。』






苦しそうに熱い息を吐く珍しい姿に胸が痛む。

よろよろとベッドへ潜り込んだ実弥さんは頭まで布団を被るとプリントは鞄の中にある、と言い残して眠りに落ちた。…そうだった、私…いや正確にはマイちゃんが教えると大見得を切ったんだった…




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