【松岡凛】部長の妹がこんなに美人なわけがないPart3【Free!】

46 ES編　Side宗介 ページ46

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『松岡がガチでカノジョと公園で星眺めてた!! 勧めたのおれだけど、爆発して欲しくなった……ッ！』

　部屋を訪問してきての第一声はそれだった。
　ランニング帰りのリョウが、どうもバカップル共の逢瀬を目撃してしまったらしい。

　おいおい、御子柴だって敷地外でランニングぐらいしてんだぞ。本当に隠す気あるのかよ。
　そのうち足元すくわれるぞ、なんて思いながら、目の前で悔しそうにしている友人の愚痴に付き合ってやった。

　ロマンチストとしてカノジョと星眺めるとき、どんなクサい台詞を吐くんだろう。
　凛が戻ったら全部吐かせよう。

　リョウがいいだけ愚痴を吐いて満足したのか、自分の部屋に戻ってすぐに凛が戻ってきた。
　よっしゃ暇つぶしきた、と思ってベッドの上から声をかけるが、凛はどこか浮かない表情をしていた。
　朝、部屋を立つ際の『折角Aと一緒に出掛けるのに雨とかねーわ』なんてのとは、どこかが違う。
　別に転んで恥かいたとかそういう痕跡は見えないんだが。

「おかえり。久々のデートどうだったよ」
「ただいま。いつも通りふわふわしてたけど？」
「――の割に、その顔の理由は？」
「……俺そんな変な顔してたか？」
「なんか、子どもが開けたばっかのアイス床に落としたのと似てるかもな」
「なにそれ、超絶望的じゃねぇか……」

　昔、じゃんけんで俺に買って手に入れた残りひとつのアイスを殆ど食えないまま、派手にスッ転んだときの顔と似てるな。――というのはきっと俺にしか分からない。
　だが本人としては超絶望的、この世の終わりみたいな顔をしていたと捉えたらしい。つまりあの時の凛はそういう心境だったっつーことか。相変わらず脆いガラスのハートなことだ。
　ちゃっちゃと風呂の準備して出発されちまって、また暇になった。

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