9 一年後 Side凛 ページ9
Aが困ったように見上げてくる。
その目からは『関係を伝えていいのか』と『ご飯作ってあげたい』くらいしか、今の俺には読み取れない。
「……百太郎。晩飯、なに食いたい?」
「トンカツ!!」
「だったらお前も俺と一緒に荷物持ちだ。行くぞ」
「おー! って、え? なにどゆこと? なぁ、どゆこと!?」
百太郎を後ろに引き連れつつも、頑なに繋いだ手は離さなかった。
スーパーについても、カゴを持つのは百太郎の役目。俺とAで食材選んでカゴに入れる。
手を離したのは、レジで俺が財布を出したとき。Aが財布を取り出すのを制したとき。
男二人もいればAが荷物を持つこともなく、帰りも手を繋いで歩いた。
「あれか! 松岡部長は姉ちゃんが男に絡まれんの阻止してんのか!」
――見て関係を察しろ、という俺の思いは粉々に砕け散った。
百太郎の一言はキッチンにいたAにも届いており、指を滑らせたのか肉を溶き卵のボウルに落としていた。べちょっ、と。
まぁ、百太郎の言葉も間違ってはいない。
肯定するべく頷くと『そうだったのかー』と納得したふうに、うんうんと頷いていた。
「今までは兄ちゃんが近くにいたけど、卒業しちまったし。それで松岡部長が『姉ちゃん守り隊』の仲間入りしてんだな。なるほどな。でも今年からはオレが姉ちゃん守るから、な?」
このバシッと叩かれた背はなんだろう。オレがいるからお前は引っ込んでろ、か?
そんな俺を気にするでもなく、百太郎はその場に座ったまま、料理中のAに問い掛ける。
「姉ちゃんもさー、なんで松岡部長に守って貰ってんの? 今年からオレが鮫柄通うって知らなかった、っつーのは知ってるけど」
「え、ええと、ですねー……。ほら、百くん! やはり凛さんは部長さんですから! 頼りがいがある、と言いますか」
「だからって部屋に連れ込むのー? 姉ちゃんちょっと危機感なさ過ぎじゃん?」
「に、荷物整理に、付き合って頂いていて……」
「荷物整理ったって、ガラガラとお土産ぐらいじゃ――なんでガラガラ二つあんの?」
あ、やべ。俺のキャリーバッグも今ここにあるんだった。
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Alice(プロフ) - コスミ@終わらない夏さん» ばりばりww でも私もそんなイメージです(;^ω^) 愛ゆえに…!! (2014年9月13日 22時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - Aliceさん» 宗介は水泳が絡まないと、よくいる男子高校生、っというイメージなので、きっと下ネタばりばりいける派だろうと思って動いてもらった結果がコレになります。コスミの愛ゆえに歪めてしまいました。 (2014年9月13日 22時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - アイス…絶望的ですね…(´・ω・`) 宗介の誘導すごいw (2014年9月12日 15時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - コスミ@終わらない夏さん» うああすみませんm(__)m 消しときます(;´Д`) (2014年9月12日 15時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - Aliceさん» 喜んで頂けてなによりです! ですが、曲名はその通りなのですが、検索避けの為に曲名は晒さないでおいて頂けると嬉しいです。調べれば分かる程度に濁した意味がなくなってしまいますので……。 (2014年9月12日 14時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コスミ | 作成日時:2014年7月17日 0時