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反応出来たのは、キャッチャーだけだった。
だけどボールはキャッチし切れず、ぽんっ、ぽんぽん、と転がっていってしまった。
「ちょ、手ぇ痛ってー! 兄ちゃん野球やってんの? こんな速い球受けたことない!!」
「……あの頃のオレより速ぇーな。ハハ……歳には勝てねェわ」
目を輝かせた二人の少年を引き連れて靖友くんが戻ってくる。
コーチが仕返しとばかりにニヤつきながら言葉をかけた。
「どうだ荒北。歳には勝てないだろう?」
「そーッスねェ。あの頃はこんなに体デカくなかったし、筋力もなかったからァ……」
「そういえば野球辞めたわりに、筋肉落ちてないどころかむしろしっかりついてるな。治ったのか知らんが、なにか別にスポーツ始めたのか?」
グレていたことは秘密にして、コーチと少しだけ昔を懐かしみながら雑談をした。
次第にお昼休憩も終わったのか、徐々に個人練習する姿が見え始める。
グラウンドの隅っこで靖友くんと軽くキャッチボールして遊んで、お礼を言って母校を後にした。
「付き合ってたのバレてたネ」
「隠してたつもりだったのにね」
まさかまだ付き合っているとは、なんて言われて二人揃って肩を跳ねさせたのはもう良い笑い話だ。
私の引退寸前、部活が終わるまで別のところで待っていて、帰りに近くまで送ってくれるようになったときに目撃されていたらしい。全然気付かなかった。
街並みは少し見ない間にちらほら変わっているけれど、住人との思い出は増えるばかりだ。
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コスミ@終わらない夏(プロフ) - あいるさん» 我が家の荒北靖友は、いつでもコスミの想像に影響されております。原作の荒北靖友がかっこいいからこそあれに届くようなかっこよさ、書きたいですねぇ。 (2014年12月28日 20時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - *・*:.怜亜奈?"*さん» ありがとうございます。無事、原稿修羅場も終わり戻って参りました。ご期待に添えるかは分かりませんが、Part7お待たせしました! (2014年12月28日 20時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
あいる - いつも楽しく読んでます! コスミさんの書く荒北さんがすごくかっこいいです! 更新頑張ってください。 (2014年12月27日 21時) (レス) id: 9aebef419c (このIDを非表示/違反報告)
*・*:.怜亜奈?"*(プロフ) - part6お疲れ様でした。毎回楽しく購読させていただいている者です!ゆっくりとお休みになられて下さい…。次の更新も楽しみにしています! (2014年12月22日 19時) (レス) id: 6089e35ed0 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - 湖々さん» 狼、水着の三日月に誘惑されるの巻。ここから我が家の荒北靖友がどこまでダメになってしまうかはまだ分からないのですが、期待せずお待ちください笑 (2014年12月19日 17時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コスミ | 作成日時:2014年12月10日 16時