45 ページ45
.
「あれ、予想外にも静岡行く前のままじゃねェ?」
「他に誰か使ってたりするの? あ、懐かしい。箱学ジャージだ!」
「妹達の遊び場になってたりするヨォ」
気にはなるけど、それよりも目の前に広がるカレシの部屋に夢中になった。
箱根学園と書かれたボロボロになった自転車部のジャージは、飾り物になっていた。
「そういえば言ってたね、秘密基地に改造されてた、って」
「おかげでドコにしまわれたかサッパリで、結局見つけられなかったからナァ……」
「探し物?」
「まぁもう、色々と遅いっつーか、今更って感じだけどォ」
隅っこに荷物を置いて、これから出掛ける先で必要なモノだけ取り出す。
ぽすっ、とベッドに腰掛けた靖友くんに手招きされる。
ベッドだし、さっきのそれかな?
ちょっとだけ心の準備をして向かうと、宣言通り押し倒された。
ギシッ、とベッドが軋む音とはまた別に、大きなクローゼットからガタンと物音がした。
「そこかァ」
靖友くんは体を起こして、スタスタとそのクローゼットに向かって足を進める。
乱暴に開け放たれたクローゼットからは、女の子二人が靖友くんに顔を向けていた。
間髪いれず、ガシッ! とその子達の頭をわしづかみする。
「いだだだだッ!!」
「靖にぃ! 痛いィィィ!!」
「オメーらに気付かねーであのまま一発かまし始めたら、一体どうするつもりだったワケェ?」
「ガン見!」
「後でネタにして靖にぃのコトからかうつもりだっ、いだだだだ!!」
「妹さん達?」
「さっき『どこ隠れる?』とか声聞こえたから、ちょっとドアの前で待ってたんだヨ」
なるほど。寸劇の役者は私達だったのか。
妹さん達は靖友くんに頭を掴まれたまま引っ張り出され、部屋の真ん中あたりまで床に引きずられた。
ベッドをソファ代わりにして座る私の隣に、靖友くんが腰掛けた。
「――で、コチラがオレの愚妹達」
「ぐまい?」
「ぐまいたち?」
「愚かな妹って書いて、愚妹だよォ。このバァカチャン共がァ」
見覚えのある中学の制服と、近所にある高校の制服を着た二人が慣れたように正座する。
夏休みに制服とは……。部活か補習授業か、学校行事か。
259人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - あいるさん» 我が家の荒北靖友は、いつでもコスミの想像に影響されております。原作の荒北靖友がかっこいいからこそあれに届くようなかっこよさ、書きたいですねぇ。 (2014年12月28日 20時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - *・*:.怜亜奈?"*さん» ありがとうございます。無事、原稿修羅場も終わり戻って参りました。ご期待に添えるかは分かりませんが、Part7お待たせしました! (2014年12月28日 20時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
あいる - いつも楽しく読んでます! コスミさんの書く荒北さんがすごくかっこいいです! 更新頑張ってください。 (2014年12月27日 21時) (レス) id: 9aebef419c (このIDを非表示/違反報告)
*・*:.怜亜奈?"*(プロフ) - part6お疲れ様でした。毎回楽しく購読させていただいている者です!ゆっくりとお休みになられて下さい…。次の更新も楽しみにしています! (2014年12月22日 19時) (レス) id: 6089e35ed0 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - 湖々さん» 狼、水着の三日月に誘惑されるの巻。ここから我が家の荒北靖友がどこまでダメになってしまうかはまだ分からないのですが、期待せずお待ちください笑 (2014年12月19日 17時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コスミ | 作成日時:2014年12月10日 16時