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「AチャンAチャン。――取ってこーい！」
そこから的に向かってヒュッと投げられたそれは、真ん中に刺さった。
驚きの声も出ないほどあっさりとダーツは刺さり、42だったそれを92にしたのだ。
それを見届けた神風さんが聞き慣れた笑い声を上げて、自分の太ももをバシバシと叩いている。
「うは、ヤベ。オレ天才かもォ」
「――ほれ、ベプシ。ん？ なんじゃ子犬もブル入れたんか！」
「いや、オレが勝手にこっから1本投げたァ。マジで刺さるとは、思わな、ックク！」
靖友くんも笑い出してしまい、しまいには神風さんとバシバシ体を叩き合っていた。
闘犬になにを吹き込んだのかと問えば、お互いを投影してしまうからこその理由だった。
「犬にボールだとか円盤投げるとか、そういう遊びあるじゃろ？ ああいうのは投げる側にも技術がいるんじゃ。じゃけえ『子犬が取りやすいようにしっかり狙い定めて投げろ』言うた」
「それで『取ってこーい』って言ったのね、靖友くんは……」
「末恐ろしい飼い主じゃの」
二人の笑いが少し収まった頃に、ラインを越えないように立つ。
悔しいし心の中で、その命令を唱える。
「2点だネ。――あれ、4点？」
「外側の輪だから、ダブル。2倍になるんだよ点数が」
「子犬も声に出せばええんじゃ。取ってこい、言うて投げてみぃ」
なんとなく恥ずかしい気はするのだけど、丁度このゲームもこの1スローで終わりだ。
立ち位置を確認して、教えて貰った構えをして、ちらりと靖友くんを見る。
「靖友くん」
「ハァイ」
的をしっかりと狙って、命令をする。
「取ってこい！」
ストン。
刺さったダーツの矢は真ん中よりも上の、内側の輪。細いところにいた。
表示された点数は、96から156へと跳ね上がる。
「一番点数高いところいったか。こりゃAちゃんも末恐ろしい飼い主になるなぁ」
「え、真ん中が一番じゃねーのォ？」
「今のトコは3倍じゃからの、60点じゃよ」
「マジか、早く言えヨ」
スタスタと靖友くんがダーツを回収して戻ってくる。
そしてベプシ片手に3本のダーツを見せ、私に微笑む。
――取ってきたよ、と。
靖友くんの50点を引いても106点。
ようやく私は数ゲームして初めて3ケタの結果を残したのだった。
＊＊＊
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コスミ＠終わらない夏(プロフ) - あいるさん» 我が家の荒北靖友は、いつでもコスミの想像に影響されております。原作の荒北靖友がかっこいいからこそあれに届くようなかっこよさ、書きたいですねぇ。 (2014年12月28日 20時) (
レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
コスミ＠終わらない夏(プロフ) - *･*:.怜亜奈?"*さん» ありがとうございます。無事、原稿修羅場も終わり戻って参りました。ご期待に添えるかは分かりませんが、Part7お待たせしました！ (2014年12月28日 20時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
あいる - いつも楽しく読んでます！ コスミさんの書く荒北さんがすごくかっこいいです！ 更新頑張ってください。 (2014年12月27日 21時) (レス) id: 9aebef419c (このIDを非表示/違反報告)
*･*:.怜亜奈?"*(プロフ) - part6お疲れ様でした。毎回楽しく購読させていただいている者です！ゆっくりとお休みになられて下さい…。次の更新も楽しみにしています！ (2014年12月22日 19時) (レス) id: 6089e35ed0 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ＠終わらない夏(プロフ) - 湖々さん» 狼、水着の三日月に誘惑されるの巻。ここから我が家の荒北靖友がどこまでダメになってしまうかはまだ分からないのですが、期待せずお待ちください笑 (2014年12月19日 17時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コスミ
| 作成日時：2014年12月10日 16時
