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「逆に先輩方を子犬に悩殺してもらえば良かったかの」
「テメ、人のカノジョをダシに使うンじゃねェ!」
「さっきから二人ともなんでそんな――鏡?」
二人に連れてこられた先で、鏡の前に立たされる。
ひょい、とさっきつけ直して服の外に出したネックレスは、靖友くんの手によって再び服の中へ隠れた。
「子犬は自分で見てなんとも思わんのか」
「なんとも思わないけど」
「……こんぐらいか、オレらから見た角度」
「そうじゃのう」
「なんとも? あー、でも、やっぱり前よりちょっと胸元のゴム伸びちゃったかも……」
真っ直ぐ立っていればなんともないけど、背を押されてつけられたこの角度だとたるんで下着が見えそうだ。
ネックレスは胸の谷間に挟まってるから紐はゆらゆらしてるけど、ペンダントトップは落ちてくる気配がない。
「よく今まで躾せんでここまできたのう、高校時代からじゃろ?」
「中学からだよォ……。まぁ夏場なんていつも制服かジャージだったし」
がくりと項垂れた二人をよそに、小動物扱いにも慣れてしまった自分がちょっと悲しい。
ロードを携えて軽く流しに行った二人を見送って、綺麗に晴れた夏の空を見上げる。
――彼らが今一番の走りを出来ますように。
部長さんは、選抜レース前に追加で述べた。
今日の選抜結果で一位のチームが、目前に迫る公式戦に洋南大学の代表として出る。
残りの2チームはメンバーを継続し、その後のレースに向けて『仲良くなっておけ』と。
秋のレースには、残り2チームのどちらかが出られる。
3チームのうち1チームは、公式戦を走れないまま解散することになるのだ。
もちろん伸び悩んでいる間に後ろから成長してきた者が枠を奪うこともある。
それは誰の目からみても実力差が生まれている場合だけど、油断するな、と念を押してからのスタートだ。
選抜レースのルールは簡単。いつも走っているこの洋南のコースを一周すればいいだけ。
そこを最初に全員が走りきったチームが一番だ。
部長さんの合図で、3チームが風を巻き起こした。
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コスミ@終わらない夏(プロフ) - あいるさん» 我が家の荒北靖友は、いつでもコスミの想像に影響されております。原作の荒北靖友がかっこいいからこそあれに届くようなかっこよさ、書きたいですねぇ。 (2014年12月28日 20時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - *・*:.怜亜奈?"*さん» ありがとうございます。無事、原稿修羅場も終わり戻って参りました。ご期待に添えるかは分かりませんが、Part7お待たせしました! (2014年12月28日 20時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
あいる - いつも楽しく読んでます! コスミさんの書く荒北さんがすごくかっこいいです! 更新頑張ってください。 (2014年12月27日 21時) (レス) id: 9aebef419c (このIDを非表示/違反報告)
*・*:.怜亜奈?"*(プロフ) - part6お疲れ様でした。毎回楽しく購読させていただいている者です!ゆっくりとお休みになられて下さい…。次の更新も楽しみにしています! (2014年12月22日 19時) (レス) id: 6089e35ed0 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - 湖々さん» 狼、水着の三日月に誘惑されるの巻。ここから我が家の荒北靖友がどこまでダメになってしまうかはまだ分からないのですが、期待せずお待ちください笑 (2014年12月19日 17時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コスミ | 作成日時:2014年12月10日 16時