【松岡凛】部長の妹がこんなに美人なわけがないPart5【Free!】

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　凛さんがふと寂しそうに目を細めてらっしゃったので、不思議に思いました。
　首を傾げると、私の疑問も伝わったのでしょう。少し悩んだのち、言葉が向けられました。

「来年は言えるか分かんねぇしな。やっぱちゃんと言っとくか。――似合ってる。可愛いよ」
「あ、りがとう、ございます……！」
「んな顔すんな。っても、させたのは俺か。わりぃ、そういうつもりで言ったんじゃねぇんだ」

　褒められて嬉しいのに『来年は』というくだりが気になって上手く笑えずにいると、凛さんが申し訳なさそうに切り出しました。

「地元離れるってのは、もう決めてることだから。留学してたときも正月ぐらいしか帰ってこなかったしな……。ああそうだ。オーストラリア土産、こういうのがいいとか希望あるか？」
「オーストラリア……で有名なものというか、なにがある国なのかが、よく……」

　留学中に見た物などを凛さんから教えてもらい、アクセサリーかストラップ、という結論に至りました。
　それならきっとかさばらないでしょうし、お菓子のように崩れてしまうことを気にしなくても良いです。

「お家に帰ってくるまでがお出掛けですからね？」
「おう、心配しなくてもすぐ帰ってくる。大会もあるからな」

　急にオーストラリアまで出掛ける理由は、質問出来ずに。
　せめて明日は笑顔で送り出したいという思いも、連れて行かなきゃならないヤツいるから、と。
　私はお留守番のようです。

　大きな音が鳴り、慌てて空を見れば、綺麗な花が咲いておりました。
　私達の周りを見回しても人は多くないのに、絶景です。

「もしかして……イイトコ見つけちゃった感じか？」
「そうかもしれませんね」

――きっと高校生同士として眺める、最後の花火。
　静かに凛さんに寄り添うと、ぎゅっ、と手が繋ぎ直されました。

　今はただ、この景色を瞳に焼きつけておきたい。

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