【松岡凛】部長の妹がこんなに美人なわけがないPart5【Free!】

26 ES編 ページ26

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　全国大会前の一週間はオフで、大会に出る選手は2日前に会場入りとのこと。
　つまり凛さんは――。

　ピアノのテストのことも、メールで成功を告げただけで終わってしまう程度には、凛さんも私も忙しない毎日を送っており、中々会えないまま。会えてもその時間は短いのです。
　もしかしたらランニングの途中で寄ってくださるのでは、と思い冷蔵庫の応援アイテムは欠かさず用意しておりますが、私も用事があって桃ちゃんのお部屋だったり、伊集院さんのお部屋にお邪魔していたり。
　そうして気付けば冷蔵庫に凛さんが訪ねてくださった証拠が残っており、すれ違うばかりでした。

　ワガママな寂しさが募る、いつもの放課後。
　なにやら落ちつきのない教室内に飛び交う単語は、少し離れたところの花火大会について。
　何時にマンションのロビー待ち合わせね、なんて会話がされている中で、物凄く寂しいことがひとつあります。

「も、桃ちゃん……」
「うん？ どうしたのAちゃん」
「あの、その……。自惚れなのかもしれませんけれど、いつもなら皆、私も誘って下さるのになぁ、なんて」
「あー、花火大会のこと？」
「はい……」

　今回に限っては予定すら尋ねられず、ついに花火大会当日を迎えてしまったのです。
　桃ちゃんですら私を誘ってくれませんでした。寂しさ募って我慢ならず、想いを吐露します。
　すると桃ちゃんは、あはは、と大笑いしました。どうして？

「そりゃAちゃんを誘うわけないじゃーん？」
「えっ……」
「ん？ あー！ いや、そーじゃなくって!! ちょっと待って、そんな落ち込んだ顔しないで！ 今のは私の言葉が悪かっただけだからー!!」

　愛想を尽かされてしまったのかと思い、泣きそうになって顔を歪めてしまったところ、桃ちゃんが大慌てで訂正を始めました。
　よくよくそれを聞けば、カレシ持ちを誘ってどうするんだ、ということ。
『どうせカレシと行くんでしょ？ だったらそんな野暮なこと最初から聞かないよ』ということだそうです。
　安心しました。私は嫌われてしまったわけではないのですね。

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