【松岡凛】部長の妹がこんなに美人なわけがないPart5【Free!】

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　階段を降り、廊下を歩き。
　見取り図とにらめっこしながら辿り着いた場所に、凛さんはいませんでした。

「部長なら、山崎を探しに――」
「あら、そうでしたか。どうもありがとうございます」

　鮫柄の選手に応援の声掛けをして、綺麗に磨かれている大きな窓から外を眺めます。
　山崎さんを探しているということは、打ち合わせかなにか……？
　試合前の選手に対し部外者が出来ることというのは、応援よりも、邪魔をしないこと。
　戻ろうと踵を返すと、小さな女の子が隅っこで膝を抱えてしゃがんでおりました。

「どうしました？」

　その子の正面にしゃがんで声をかけると、どうやら迷子になってしまったようです。

「貴宏お兄ちゃんに、1位おめでとうって、言いたくてね？ お母さんに言ってから、探しにきたんだけどね？ 貴宏お兄ちゃんには会えたし言えたんだけど、地図失くしちゃったから、ここがどこか分かんなくなっちゃって。お母さんのいるとこ戻れなくて。うっ、うぅっ……！」

　地図、というのはきっとこの見取り図のことでしょう。
　広げてその子に見せてあげると『拾ってくれたの？』なんて言われてしまい、思わず頷いてしまいました。
　一緒にそれを見て現在地を確認し、見取り図との向きも合わせて間違いのないように。

「これがあれば大丈夫！ ありがとうございました！」

　自信満々に言い切ったその女の子を笑顔で見送り、現実と向かい合います。
――今度は私が迷子になる番、でしょうか？

「あの子と一緒に行けば良かったのにーなんて、もう遅いですけれど……。あら、七瀬さん？」

　ふと歩きながら見た窓の外に、岩鳶高校のジャージを着た人が。
　ちょっとここからでは遠いですけれど、失礼ながら岩鳶高校の方であそこまで自由に行動していらっしゃるのは七瀬さんぐらいでしょう。
　座ってらっしゃるベンチの後ろには案内板のようなものがありますので、足が自然とそちらへ向かいました。

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