19 ES編 ページ19
.
兄様に起こして頂き、支度をして会場へ。
この広い会場で迷子になんてなってしまったらと思うと、指先から冷たくなっていきました……。
今日は極力、兄様から離れないようにしましょう。
兄様から一歩半遅れたところを歩いていますと、正面から百くんがルンルンと楽しげにやってきました。
ですが、どうも視線は手元の用紙に向いているようです。
危ないと思ったときには既に兄様にぶつかったあとでした。
「お前も出るんだな」
「ったりめーだぁ。バックだったら兄ちゃんにだって負けねぇ」
「これが松岡の最高のチームかぁ……」
「最高のチームぅ？」
兄様が『お前も――』と口にしたとき、一瞬でしたが百くんの表情が変わりました。
それはまるで�爐泙声体呂鯒Г瓩討�れていないのか�瓩箸いΕ轡腑奪�を受けたようなもの。
いつだって兄様の影を重ねられてきた百くんが、違いを見せようと努力して勝ちとった優勝は『流石あの御子柴の弟』という声で霞んでしまっておりました。
きっとまだ兄様に認めてもらえる泳ぎが出来ていない――そう思ってしまったのでしょう。
昨年の大会のお話を兄様から聞き、キラキラと百くんの瞳が輝いていきました。
ここにも凛さんの光が――。
「百くん。どんなときもベストを尽くすのが礼儀ですよ！」
「おう！ 任せとけ姉ちゃーん！」
百くんは元気にそう答え、兄様の手から返ってきたリレーのオーダーシートを提出しに向かいました。
それを見送り、兄様と鮫柄学園の応援席へ戻ります。
「ほら、Aの分のメガホンだ」
「ありがとうございます！」
兄様からメガホンを受け取り、掛け声やタイミング等を教わります。
凛さんの試合が、始まります――！
スタートから先頭に出るまでの時間はとても短く、どんどん他の選手を引き離していきます。
ターンで得た加速は、他の選手との差を更に広げるものでした。
試合はダントツの1位。
「いいぞーいいぞー松岡！ オォー!!」
あ、きっと今、水中でガッツポーズしましたね。
凛さんの嬉しそうな笑顔につられて、私も表情がにこやかになります。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 220人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
コスミ＠終わらない夏(プロフ) - Aliceさん» 国籍の違う友人は多いですが皆日本語の達者な方々です。一応終わりまではざっくり考えているので、向かって書いていく感じです。 (2014年10月2日 14時) (
レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - ううう…宗介…(;_:) データ…ショックですね(；ﾟДﾟ) このお話の終わりがくるのが怖いです(´・ω・`) (2014年10月1日 16時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - コスミ＠終わらない夏さん» お友達にオーストラリアガールがいらっしゃるんですか！？ おもしろかったですｗｗきすみーの口調ってなんか難しいですよね(´・ω・`)書きにくい子です← (2014年10月1日 16時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ＠終わらない夏(プロフ) - Aliceさん» クロエは書こうと思ったハルの話の主人公ちゃんから引っ張ってきました。友人のオーストラリアガールが結構キッパリ諦める子だったので、こういう子も居たっていいかな、なんて思います。きすみー君をお喋りにしたら台詞続いて大変なことになってしまいました笑 (2014年10月1日 15時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - ハ…ハルちゃんと凛ちゃんが恋仲…ｗｗｗ 貴澄くん登場でテンションあがりました(*´▽｀*) クロエ…恋敵登場かと思って身構えたらすごく良い子だった…( ;∀;) (2014年9月30日 17時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：コスミ
| 作成日時：2014年9月22日 10時
