2 ES編 Side凛 ページ2
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確かに普段は人と会わないような時間にお邪魔するし、身構えもしないで合鍵を使って入っていく。
だけど今日、まさに今。
この変な動悸には嘘がつけない。平気じゃない。
おかしいな。学祭のときあれだけ作り笑顔振り撒いて仕事出来たのは、奇跡なのか?
エレベーターで白波女子と出くわすことはなく、慣れてしまった廊下を通ってAの部屋へ。
インターホンも押さずに解錠、そして靴が揃っているのを確認して小声の『お邪魔します』
シンと静まりかえり、どことなく良い香りがするリビングに、なんとなく『ただいま』を告げる。
「……いない?」
てっきりリビングで音楽でも聞きながら本でも読んでいるか、のんびりテレビでも眺めているか――なんて予想は簡単に覆される。リビングにAはいなかった。
防音室にもいない。
前と違って、電子ピアノの上に置きっ放しになっている楽譜が、流行りの曲のピアノ譜に代わっているだけ。
それが最近発売されたばかりだというのは知っている。
友人内のピアノ男子が発売日に買ってきて、練習を始めたばかりだからだ。
Aが嫌だ苦手だと言いながら、どうにか仲良くなろうとしている姿勢を見つけて、ちょっとだけ笑った。
そうやって、ふとしたとき逃げることをやめて、立ち向かうところが好きだ。
風呂場側から物音は一切しない。
ついでにいえば、洗濯機が仕事をしている音もしない。
「もしかして、まだ寝てる?」
思っていたよりも、休日はだらだらと過ごしたい派だったのだろうか。
壁やドアがどれだけ厚いのかは分からないが、寝室に続くドアの正面に立っても、物音はしない。
江の部屋を訪ねるときよりかは丁寧なノックをしてみるが、反応はなかった。
思ったことをすぐ言葉に、行動に出来るのは、長所であり短所だと思う。
本能のままに丁寧にドアを開けた俺の視界には、カーテンが閉まっている所為で薄暗い世界が広がった。
結論から言ってしまえば、Aは寝坊を決め込んでいただけ。
別に夜這いしにきたわけじゃないんだけどな。つーか、朝だし。
それでもそろりそろりと足音を潜めて、江の部屋とはまた違う女子の空間で眠るお姫様の様子を伺う。
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コスミ@終わらない夏(プロフ) - Aliceさん» 国籍の違う友人は多いですが皆日本語の達者な方々です。一応終わりまではざっくり考えているので、向かって書いていく感じです。 (2014年10月2日 14時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - ううう…宗介…(;_:) データ…ショックですね(;゚Д゚) このお話の終わりがくるのが怖いです(´・ω・`) (2014年10月1日 16時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - コスミ@終わらない夏さん» お友達にオーストラリアガールがいらっしゃるんですか!? おもしろかったですwwきすみーの口調ってなんか難しいですよね(´・ω・`)書きにくい子です← (2014年10月1日 16時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ@終わらない夏(プロフ) - Aliceさん» クロエは書こうと思ったハルの話の主人公ちゃんから引っ張ってきました。友人のオーストラリアガールが結構キッパリ諦める子だったので、こういう子も居たっていいかな、なんて思います。きすみー君をお喋りにしたら台詞続いて大変なことになってしまいました笑 (2014年10月1日 15時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - ハ…ハルちゃんと凛ちゃんが恋仲…www 貴澄くん登場でテンションあがりました(*´▽`*) クロエ…恋敵登場かと思って身構えたらすごく良い子だった…( ;∀;) (2014年9月30日 17時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コスミ | 作成日時:2014年9月22日 10時