34 『Part 3 一年後』 ページ34
「俺が住んでいる部屋は、今じゃ持ち家みたいなものだが――借家として毎月家賃を払っていた場合、水道光熱費と合わせてこのくらいの金が必要になる。そこに携帯代やネット代、あとは火災保険などの諸々が伴い、食費以外だけで最低額としても年間このくらいの金が必要だ」
バーン、と書かれた数字が私のお小遣いの何倍だろうかと計算し、結構な額がかかるのだなと実感しました。
兄様はそのリストにピッと線を引き、また別のスペースに文字と図を記入していきます。
「実際こんな上手くはいかないが、理想、理論上では大学を4年で卒業した場合の給料の平均額は、このくらい。この額から税金などが引かれて、手元に残るのは大体このくらいだ」
「あら、こんなに少なくなってしまうのですか？」
「知らなかっただろう？ 社会人は自分の身ひとつだけでも大変だ。勿論これはちゃんと就職出来て、給料がしっかりと出る職場を想定した場合だから、変なところに身を置いてしまえばもっと大変な目に遭う」
もしもの話を兄様から聞きます。ぞわぞわと寒気がするくらいの世界に、身が震えました。
兄様は手取り額を丸で囲み、先程の必要経費のところに矢印で繋げました。
「手取りから必要経費を引いて残った額から、さらに食費と交際費を引く」
「――ほ、殆ど、残りませんね」
「ここで不慮の事故などによる怪我をした場合、どうなると思う？」
「じっ、事故!? 病院に行かないと、保険証は――あ、大丈夫です保険料を支払っていますから使えますね。それでもすぐには治らないでしょうし、通院とお薬代が……。もし腕を怪我してしまったら料理も出来ませんし――」
はわわ、なんてうろたえてしまいたくなるような世界が頭の中に広がりました。
兄様が予想通りだというように微笑みかけてくれます。
「これが、俺のよく聞いてきた�犖渋紊梁臑桓匆饋有瓩了僂澄�もちろんこれがすべてじゃない。もっと良い生活が出来るくらい頑張っているやつだっているし、逆にもっと苦しい生活を強いられているやつだっている。俺達はたとえ就職出来なかったり留年したとしても、少しの間は親の金で過ごせる。幸せ者だな」
その言葉には大きく頷くしかありませんでした。
今着ている服も、今飲んでいる飲み物も、両親のおかげで手に入った物です。
「兄様、私――大人になりたくありません」
そう言うと、兄様は大笑いをしました。
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bianca(プロフ) - コスミ＠終わらない夏さん» やはりそうでしたか！お返事ありがとうございました。 (2014年11月15日 11時) (
レス) id: 59896345eb (このIDを非表示/違反報告)
コスミ＠終わらない夏(プロフ) - biancaさん» そうですね、クロスオーバーさせております。別作品で箱根の狼さんを書き始める前に、相互ネタ仕込みしたかったので。 (2014年11月13日 16時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
bianca(プロフ) - 32にでているあらきたさんとは弱虫ペダルの荒北さんでしょうか？？夢のコラボ！ですね＠ 'ェ' ＠ (2014年11月13日 0時) (レス) id: 59896345eb (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - コスミ＠終わらない夏さん» 軽音だったんですか！羨ましいです〜(≧◇≦) このクオリティで没案…だと…！？ すごく凛ちゃんだなぁと思って浸りながら読みました(*ﾉωﾉ) モモくんのクワガタへの愛がすごいですよねｗ 愛しの相手にはぴゅんすけをプレゼント！！ですからねｗｗ (2014年9月22日 16時) (レス) id: be52c26f88 (このIDを非表示/違反報告)
コスミ＠終わらない夏(プロフ) - さくら大好きさん» 妹（姉）がいる設定は公式であるのに、まったく影が見えないのですが多分姉大好きっ子だと思うんですよね……。凛ちゃんが二期からめっきりツッコミ係のギャグ要員化しているので、そこを活かせればなぁなんて思っております。応援ありがとうございます！ (2014年9月22日 10時) (レス) id: a3fcdb67fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コスミ
| 作成日時：2014年9月12日 14時
