【松岡凛】部長の妹がこんなに美人なわけがないPart4【Free!】

30 『Part 3　一年後』 ページ30

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「それじゃ、いってくる」
「はい。どうぞお気をつけていってらっしゃいませ」

　この次の便に私が乗ることを知らない凛さんを、改札までお見送りしました。
　凛さんの後ろに続く他の方々のウインクが飛んできましたので、仕込みはバッチリ、といったところでしょう。
　彼らの乗った便が出発したところで、少し離れたところに隠れていた桃ちゃんから、私の荷物を受け取ります。

「すみません、どうもありがとうございます」
「いーよいーよ。っというわけで、お土産よろしくねー！」
「はい！ 任せてください、皆さんのリクエストにはしっかりお答え致しますので！」
「……ところでAちゃん。あの人達もしかして、御子柴家のボディガード的な方々？」
「はい？ ――あら。松原に、橘？ 烏森まで。皆いつもと雰囲気が違いますね……」

　桃ちゃんにこっそりと指摘された場所を見れば、あちこちに実家で働いている筈の使用人達が。
　周りの人と同じような涼しそうな服装をして、こそこそとしておりました。
　どうしてでしょうか、と桃ちゃんにお伺いしてみると、ふふふ、と口元を緩めていらっしゃいました。

「はじめてのおつかいならぬ、はじめての一人旅みたいなものだしね……！ いやぁ、お嬢様も大変だ」
「確かにこの距離を一人で移動するのは、はじめてですけれど……」

　きっと心配でお見送りしにきてくれたんだよ、という桃ちゃんの表情はとても優しいものでした。
　時間になりましたので、桃ちゃんに道順を再指導して頂き、改札を通り抜けました。

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