……。【参】

とんでもないゲーム ページ32

▷◁





「オマエ、あの時の仔鹿じゃん」





うわ、そうだ…なんか“仔鹿チャン”って呼ばれてたわ。





「なんでオマエ、こんなとこいるんだよ」





あなたもですけどね…。





「………聞いてンのか？」

『！！？！！？』





ひぇ…前髪切ってから覗き込まれたの久々…！！！

怖い！あ、これやっぱスッゴイ怖い！！！

肝縮んだ！！





ドンッ！！





「いっ…」

『！！！』





その場から逃げようとすると、後ろを歩いていた人にぶつかってしまう。

頭を下げて反対方向に動くと、その方でもまたぶつかってしまう。





「何してんだよ…なんもしねぇからこっち寄れ」





インテリヤクザさんは、私の腕を掴んで壁側に引いた。





『！？！？？』

「だから、なんもしねぇっつーの」





わ、わ、分かりましたから離してくださいよ！！





「………オマエさ、前もそうだったけどなんで声出さねぇの？」

『…』

「なあ」

『！！！』





ダメだぁーー！！！

やっぱりヤンキーと喋るの無理だ！！



ああ！！エマちゃんや柚葉ちゃんの時は、小さいとはいえ声が出せたのに！！！

…仕方ない、すぐにでも離れたいが説明する他ないんだろう。





「え、なんでケータイ？」





ケータイ使うしか意思疎通が出来ないので……。





“人と会話するのがとても苦手です。目を合わせるのも苦手です。”

「………フーン、、じゃあなんで水族館なんか来てるんだ？」

“いとこと友人に連れてきてもらいました。でもはぐれちゃいました。”

「迷子か」

“はい、迷子です。カメさんがどこにいるか知りませんか？”

「知らね。じゃあオレも聞くけど、兄貴どこにいるか知ってるか？」





知らないに決まっておる。

兄貴って、あの三つ編みの人ッスよね？見てたまるか。





“二人で来たんですか？”

「兄貴が、こういうとこで多くナンパされたほうが勝ち…ってゲームしたいっつーから来た。けど飽きたらしくて、突然いなくなったし電話も出ねぇ」





私もタケミチに電話したけど…

なんか、〈電源が切られてます〉みたいなこと言われた。

初めてあんなに音声に腹立ったわ。





てか、なんちゅーゲームしてるんですかお二方。





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