カメレオン (ページ7)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:1,487 hit

＃０6 ページ7

コビー「あの、少しお聞きしても良いですか？」

『？なんでしょうか？』

コビー大佐は真剣な表情で私を見ると、口を開いた。消毒液を持つ手が強くなる。

コビー「その…瞳のことなんですが…」

『！…あぁ…可笑しいですよね…瞳の色が毎回変わるなんて…』

コビー「！、いえ！！む、むしろ…その……き、…綺麗…です////////」

綺麗。そう言ってもらえたのは初めてかもしれない。私はコビー大佐になら話してもいいかもしれ

ないと確信した。

『わ、私のこの瞳は…生まれつきなんです…感情によって色が変化する…例えば、嬉しい時や幸福を感じたときにはピンク、悲しい時や不幸を感じた場合には青、危機や焦りを感じたときには黄色…
怒りを感じたときには赤く変色する…て感じです…でも、この力が暴走する時があるんです』

コビー「暴走、ですか」

自然に拳の力が強くなる。

『色々な感情が混ざった時や、強い怒りを感じたときに、オーロラ色に変化する時があるんです…その時、私に自我はありません。自分の身を守ろうと暴れ回るだけ…この能力を別名【カメレオン】と言います…時と場合によって身体の色を変えるカメレオンに似て名付けられました…私はこの瞳のせいで色々な事を経験させられました…オークション出品に誘拐、そして暗殺…』

コビー「…そうだったんですね…とても辛い思いを…」

できればしたく無かった。この場の雰囲気を悪くしてしまうから。

『でも！もう良いんです！この瞳を受け入れましたし！』

明るく振る舞って誤魔化すと、コビー大佐は突然立ち上がった。そして、胸ポケットから何かを取り

出す。それは…桜の模様が施された、白いバンダナ。

『…それは？』

コビー「僕が曹長だった頃、このバンダナをある方から貰ったんです…その時言われました。
どうかこのバンダナは大切だと言える人に渡してあげてください…と。A少佐、貴方は
僕の部下で、守りたい大切な人です…だから、無理なんてしないでください…貴方の嘘の笑顔は…
見たくありません」

『っ…』

守りたい、大切な人。初めて言われた言葉。

コビー大佐の手元のバンダナを見つめる。それはとても綺麗で、美しかった。

そして気が付いたら、涙が出ていた。私の今の色は、ピンクだ。

『グスッ…うぅ…ズ、ズルいじゃないですかぁ…泣』

コビー「え！？ちょ、す、すみません！泣かせるつもりじゃ…！！」

『ち、違うんです！う、嬉しくて…』