華の道化師【QK】 (ページ1)

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【華の道化師】

ﾀﾋ期が迫った人間のﾀﾋを、

美しく飾る能力を持った人物のことである。

実在すると噂されているが、

情報はどれも信憑性のないものばかり。

性別さえ不明である。

_____新星辞典

「華の道化師、ね」

山本は都内のオフィスにいた。

最近ニュースでもよくやっている、特別な能力を持つ謎の人物について、気になったので調べてはみたが、何の情報もない。

辞書でさえ曖昧なことしか載っていないのだ。

やはり、誰かがでっちあげた噂なのではないか。

山本はそう思い始めていたが、もし実在するとしたら、相当興味深い。

しばらく、独自で調べてみることにした。

『えー、ここで速報です。今日未明、◯◯市で【華の道化師】の仕業とみられる女性の遺体が発見されました。遺体は身元不明。顔には数種類の花が装飾されており、真紅の口紅が塗られていたとのこと。警察は引き続き調査を進めています。』

「なんだかなあ。どう思います？これ」

川上が、隣に座る伊沢に話しかける。

今、話題になっている【華の道化師】による事件。

「あー、よくわからないよな。そいつが犯人かも知れないし、でもそうじゃないかも知れない、っていう」

「噂で聞いたんですけど、ﾀﾋ期が迫っている人を狙うらしいです。狙う、って表現合ってるんですかね」

「俺も聞いた。でも老人は狙わないよね。たしか」

「そうなんです。そこが問題なんですよ」

「うーん。わかりませんなあ」

二人に限らず、世間の人は皆、この【華の道化師】に注目を集めていた。

何者かもわからず、犯罪性も伺えない。

一体、何が目的なのだろうか。