彼の気持ちと私の気持ち／ymmt ページ2
you side
大学の同級生である山本くんから脱出ゲームに誘われた数日前。
私の顔が赤かったのは、私が山本くんのことが好きだからで。
彼は私のことなんて「友達」としか思って無いのだろうな。
それでも嬉しかった。彼と出かけることができるだけで嬉しかった。
当日。私は「楽しみすぎて」というなんとも子供らしい理由で早く着きすぎてしまい、
集合場所で山本くんを待ってた。その時事件は起きた。
「お嬢さあん、暇ー？」
「暇なら俺と遊ばない？』
そう、ナンパである。
「今、待ってるんで。暇じゃ無いです。」
「えー？でも待ち時間は暇でしょ？」
「大丈夫ですよ。」
「友達ー？お嬢ちゃんを待たせるなんてお嬢ちゃんのこと嫌いなんじゃ無いの？』
「そっ、そんなことっ！私が早く来すぎただけですのでっ！」
「ふーん。じゃあさ、時間あるよね？」
「っ！」
腕を掴まれた。助けを求めたいのに声が出ない。
「どこ行く？行きたいところあるなら一緒に行くよ？」
誰か・・・・・・助けて。
助けて、山本くん・・・・・・
「その子、俺と遊びに行くんですけど、なんか用ですか？」
「ああ？ああ。僕と待ち合わせしてるんだ。」
来てくれた。いつも聞かない一人称。いつもは可愛いと思っていた声が頼もしい。
「待ち合わせですか。A嫌がってますけど知り合いですか？」
「ああ。ちょっと喧嘩してな。」
「この後俺と遊びに行くんです。離してもらえません？』
「僕とのが先だからな。」
「・・・・・・あんまりしつこいと警察に通報しますよ？？』
聞いたことのない、低い声。みた事のない、顔。
「悪いことしてないなら、別にいいですよね？』
「チッ」
男がいなくなった。瞬間、山本くんの顔が優しくなる。
「Aっ！大丈夫！？」
「うん」
「よかったあ、僕心配したあ。」
凄く安心した顔。いつも通りの一人称。いつもの可愛い声。だけど、凄くかっこいい。
「あー、よかった。」
「うん、ありがとう。助けてくれて。」
「だって、当たり前でしょ？」
「だって、僕・・・・・・」
私が山本くんの気持ちを知るまで、後1秒＿＿＿
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作者名：しゃーく。 | 作成日時：2022年6月18日 16時
