桜、咲け／Ko ページ1
「ずっと前から、好きでした。俺と、付き合ってくれませんか？」
一週間前、俺は会社の同僚で同い年の神崎さんにこういった。彼女からの返事は
「少し、待ってもらっていいですか？」
とのこと。この返事が一番怖いんだけどな。どっちに傾く可能性もあるってことでしょ？
そして今日、用があってきていた桜が咲く上野公園で彼女に会ってしまったんだ。
「あ、渡辺くん？」
「神崎さん。」
「渡辺くんあのさ、この間の返事いい？」
「いいですよ。ベンチ、行く？」
「そうだね、桜きれーだね。」
「散り始めてるけどね。」
「私はこっちに方が好きかな。桜吹雪好きなんで・・・・・・」
「それもそうだね。」
「でね、この間のことなんだけど・・・・・・」」
ベンチに座って神崎さんが話を切り出した瞬間、心臓がバクバク鳴り始めた。
時間が過ぎるのがいつもより遅い気がする。
「・・・・・・私も、渡辺くんのこと、好き。」
「こんな私でよければ、お付き合いよろしくお願いします。」
え・・・？今、なんて言った？それってさ、
「OKってことでいいんだよね？」
「うん、よろしくお願いします」
「こっ、こちらこそ、こんな俺ですがよろしくお願いします！」
「こうちゃん、ごめんね。私、ずっとこうちゃんのこと好きだったからさ、こうちゃんに告白されて
嬉しすぎて、すぐに返事できなかった」
って言って、困ったように微笑む彼女。いや、可愛い。こんな理由ならいくらでも待ちます。
ていうかさ、
「初めてこうちゃんって呼んでくれた！」
「うん、ダメだった？」
「嬉しいです、これからもこうちゃんって呼んで？」
「わかった！」
「Aさん、よろしく」
「！うん、よろしく」
「桜、もっと咲けーーーー！！」
俺は立ち上がり叫んだ。
「もう満開だし、流石に咲かなくない？」
そういう彼女を振り向いて言った。
「でも、咲いたよ。」
Aさんはキョトンとしている。笑って俺は言った。
「サクラ、俺に咲いたよ。」
意味がわかったみたいでAさんが笑った。
しばらく俺たちは満開の桜を眺めていた。
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作者名：しゃーく。 | 作成日時：2022年6月18日 16時
