続き ページ19
「いい加減、怒りますよ?」
さすがに無言攻撃も効かなくなってきたようで、そろそろ沸点に達しそうな彼。
これはさすがに、やばいと感じたのか拓司は、ちょっと俺散歩してくる。と外に出て行ってしまった。
……もうちょっと早く出ていってくれればよかったのに……なんて声に出せるはずもなく、少しだけ顔を上げて、拓司が出ていくまで眉間に皺をよせていた。
がちゃんと、ドアが確実にしまったことを確認するなり、いっきに脱力する。
はあ、疲れた。……お腹、空いた。
もぞもぞと自身の真横で何やら気配を感じる。……というか、真横にくるまで気配を感じなかった。だ、誰っ!?
「Aさん、本当に今日どうしたんですか?何かに当たったとか?」
『……』
何と答えればいいだろうか、イタズラで彼の料理の腕前をみたくて、朝昼抜いてきたことをどうやったらバレずに伝えられるだろうか。しばらく考えているうちに、彼は何かを察したかのように立ち上がり、どこかへと行ってしまった。
・
「――ん、――さん、Aさん」
『んあっ……?』
腕の中に埋めていた顔を上げながら声を発したせいか変な声が出てしまった。
いつの間にか眠ってしまっていたようで、目を覚ましたと自覚するなり再び空腹を感じ始めた。
「……よければこれ、食べて下しさい」
目の前に差し出されたのは、……まさかのカレーライス。
でも、ただのカレーライスではなさあそうだ。見た感じ、夏野菜がごっろごろとたくさん入っているような気がする。
『これ……』
「Aさん、お腹空いてそうやったから……いらんかったら、残してくれて構いませんから」
『……あ、ありがとう!!』
さっそく、いただきますと手を合わせ、スプーンで口に運ぶ。
少しだけ舌の上でピリリと感じる辛さと、コクのあるルー。そして、甘み。常人では絶対に作りえない味わい。……プロか。
「……どうですか?」
『うん、……美味しい』
「よかった」
それ以外特に会話もすることはなかった。
ごちそうさまでしたと完食すれば、満足そうに頬を緩め、ふわりと頭を撫でてきた。
『なっ、』
「我慢しないで、食べたいって言ってくれたらよかったのに……」
悲しそうな顔で言うてくる彼には、もしかしたら企画のこともすべてお見通しなのかもしれない。
『ごめんね、川上くん』
「Aさんが元気になってくれて、良った」
へらりと笑った彼の顔は、私にはもったいないくらい眩しかった。
餓死寸前、お腹すいたぜ -ko-chan-→←餓死寸前、お腹すいたぜ -kwkm-
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唯華c - 了解しました!これからも応援しています!頑張ってください!! (2019年9月30日 1時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
瑞西(シャラルー☆)(プロフ) - 唯華cさん» いつも読んでくださってありがとうございます。リクは募集は一応しているのですが、少し複雑なので、公に募集をかける際には、本編の方で公募いたしますので、それまでお待ちください。 (2019年9月29日 11時) (レス) id: 705dc09b7e (このIDを非表示/違反報告)
唯華c - すごく面白いです!(上から目線ですみません!)更新がすごく楽しみです♪ちなみに、リク募などはしてませんか?もし、していたら教えて頂きたいです!これからも応援してます!(最後まで上から目線ですみません(・_・;) (2019年9月29日 0時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
瑞西(シャラルー☆)(プロフ) - みなも。さん» 了解致しました。それでは、宜しくお願い致します。 (2019年8月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 0c3426b0a6 (このIDを非表示/違反報告)
みなも。(プロフ) - では私の方で削除させて頂きますね〜。マイナスなコメントは無いに越したことはないので(*^^*) (2019年8月27日 15時) (レス) id: d94cfd6036 (このIDを非表示/違反報告)
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